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Full text: 180 lines
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[001]【かおり】
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[002]「神庫……?」
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[003]よくわかんないけど、
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[004]なぎさ先輩、起きたんだ……。
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[005]お出かけするくらい回復できて良かった!
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[006]おっと、
>

[007]メールにお返事しておかなきゃ!
>

[008]【かおり】
>

[009]「お返事、お返事〜!
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[010] えっと、急いで行きます……と。
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[011] 送信!!」
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[012]うふふ、
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[013]これって、久しぶりのなぎさ先輩とデートだよね!
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[014]えへへ、楽しみ〜♪
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[015]         ……目を開ける。
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[016]         何も見えない。
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[017]   だって、わたしは目隠しをされているから。
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[018]       ここがどこかわからない。
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[019]  遠くから、波の音が切れ切れに聞こえてくる。
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[020]      誰もいない、知らない、部屋。
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[021]    あ……、あの聞き慣れた足音は……。
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[022]     誰かが、部屋の中に入ってきた。
>

[023]      ふわりと漂う、大好きな匂い。
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[024]【???】
>

[025]「お待たせ」
>

[026]ぎゅっと抱きしめられた。
>

[027]ぬくもりに包み込まれて、
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[028]ホッと身体の力を抜く。
>

[029]【???】
>

[030]「さみしかったでしょう?
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[031] 明日はお休みだから、一緒にいようね」
>

[032]【かおり】
>

[033]「…………」
>

[034]しゃべろうとして、
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[035]のどが痛くてしゃべれないことを思い出す。
>

[036]こくりとうなずいた。
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[037]首からどこかへ続く鎖が
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[038]チャリッと軽い音を立てる。
>

[039]その人はわたしを抱きしめたまま、
>

[040]その日、『外』で起こったことを話してくれる。
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[041]【???】
>

[042]「ちょっと困ったことが起こっちゃったの」
>

[043]【???】
>

[044]「主任がね、
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[045] かおりの実家に連絡しちゃったみたいなの。
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[046] 今、内科の詰所は大騒ぎみたいよ」
>

[047]【かおり】
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[048]「…………」
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[049]内科の詰所……。
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[050]【???】
>

[051]「山之内さんはあたしを疑ってるみたい。
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[052] 今日もわざわざ外科にまで
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[053] かおりの行方を訊きに来たわ」
>

[054]山之内さん……。
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[055]【???】
>

[056]「もちろん、誤魔化しておいたけれど、
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[057] ……ちょっと厄介かもね、
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[058] あの人も主任も、変にカンは鋭いから」
>

[059]【???】
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[060]「ああ、でも、かおりが心配することはないのよ?
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[061] かおりがあたしの言う通りにしていてくれれば、
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[062] ずっと一緒にいられるからね?」
>

[063]【かおり】
>

[064]「…………」
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[065]【???】
>

[066]「大好きよ、わたしのかおり……」
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[067]甘い、キス。
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[068]大好きな、だいすきなひとからの、優しいキス。
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[069]どうしよう……、
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[070]逃げなきゃって思うのに。
>

[071]理性では、こんな生活、ダメだって思うのに。
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[072]でも、わたし、
>

[073]ずっとなぎさ先輩と一緒にいたいって思うの。
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[074]このままなぎさ先輩と
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[075]ずっと一緒に……。
>

[076]【かおり】
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[077]「……あ」
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[078]ふと、意識が浮上した。
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[079]目を開けたけれど、
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[080]周囲の風景はうすぼんやりしていて、
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[081]あまりよく見えないの。
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[082]あの足音……。
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[083]……なんだか、長い夢を見てたような気がする……。
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[084]【???】
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[085]「眠っていたのね。
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[086] ごめんね、起こしちゃって」
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[087]その人は、いつものように、
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[088]まるで壊れ物でも扱うような優しい手つきで
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[089]わたしをそっと抱き起こしてくれた。
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[090]足元から、チャリッと鎖の音がする。
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[091]【かおり】
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[092]「……幸せな、夢を……見ていました……」
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[093]ちゃんと、声が、出ない。
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[094]一度、薬品で焼かれたのどからは出るのは
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[095]かすれた聞き取りにくい声だけ。
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[096]けれど、気持ちを伝えたくて、
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[097]何とか言葉をつむぐ。
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[098]夢の余韻か、身体がふわふわしてる。
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[099]足から伸びている鎖は相変わらず。
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[100]こんなものがなくても、
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[101]わたしはどこにも行かないのに。
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[102]それに、わたしの足は走ることもできないくらいに
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[103]弱っているのに。
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[104]えっと……、
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[105]筋萎縮、っていうんだっけ?
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[106]ああ、そうだけど、ちょっと違う……。
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[107]廃用症候群(はいようしょうこうぐん)、って
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[108]いうんだよね。
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[109]冷たい手が額に触れて、そっと頬に触れた。
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[110]……そういえば、
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[111]なぎさ先輩とこの部屋に引っ越して来て、
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[112]どれくらい経ったんだろう?
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[113]家族が捜索願を出したらしいけれど、
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[114]その後、どうなったのかな……?
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[115]【なぎさ】
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[116]「かおりの熱、
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[117] なかなか下がらないね……」
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[118]【かおり】
>

[119]「大丈夫です、
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[120] これくらいの熱……いつものことですから」
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[121]少し薄暗い視界には、なぎさ先輩しかいない。
>

[122]もう、なぎさ先輩しか見えない。
>

[123]【かおり】
>

[124]「なぎさ先輩……。
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[125] わたし、なぎさ先輩と、
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[126] ずっとずっと一緒にいたい……」
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[127]腕を伸ばす。
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[128]なぎさ先輩がぎゅっと抱きしめてくれた。
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[129]【なぎさ】
>

[130]「あたしもよ、かおり」
>

[131]【なぎさ】
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[132]「あたしたちは、これからもずっと一緒にいるわ。
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[133] かおりがいるから、
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[134] あたし、どんなに辛くても頑張れるのよ」
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[135]【なぎさ】
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[136]「あたしだけのかおりが、
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[137] あたしが仕事から帰ってくるのを待ってくれてる。
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[138] そう思うと、あたし、すごく元気になるの」
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[139]【かおり】
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[140]「……はい。
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[141] 大好きです、なぎさ先輩」
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[142]優しいキスが降ってくる。
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[143]【なぎさ】
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[144]「大好きよ、かおり……」
>

[145]【かおり】
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[146]「……わたしも、大好きです、なぎさ先輩」
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[147]わたしたちは愛し合ってるの。
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[148]最初は閉じ込められて不本意だったけれど、
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[149]今はとても幸せなの。
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[150]わたしにはなぎさ先輩だけ。
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[151]そして、なぎさ先輩にもわたしだけ。
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[152]なぎさ先輩はわたしだけを見ていてくれる。
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[153]そして、わたしもなぎさ先輩だけを見ていればいい。
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[154]わたしたちだけの世界がここにある。
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[155]なのに、
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[156]……ごめんなさい、なぎさ先輩……。
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[157]この部屋は薄暗くて、
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[158]大好きななぎさ先輩の顔がよく見えないの……。
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[159]指先もしびれてて、
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[160]何だか気も遠くなって、
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[161]せっかくのなぎさ先輩のキスなのに
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[162]ゆっくりと味わうこともできなくて……。
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[163]【なぎさ】
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[164]「ずっとここにいてくれる?」
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[165]なぎさ先輩の声が遠くから聞こえてくる。
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[166]【かおり】
>

[167]「ずっと、ここにいさせてください」
>

[168]【なぎさ】
>

[169]「大好きよ、かおり」
>

[170]【かおり】
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[171]「わたしも……愛しています……」
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[172]    わたしの言葉、ちゃんと言えたかな。
>

[173]  わたしの気持ちは、なぎさ先輩に伝わったかな。
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[174]       大好きです、なぎさ先輩。
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[175]    ……でも、今は……眠らせてください。
>

[176]         少しだけ……。
>

[177] 少し眠れば、また元通り、元気なわたしに戻ります。
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[178]   起きたら、またいっぱいキスしましょうね、
>

[179]   なぎさ先輩……。
>

[180]    それまでは……おやすみなさい……。
>

List of all oneshots
List of all series

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