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Full text: 236 lines
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[001]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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[002]なぎさルートがここで決定されました。
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[003]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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[004]ん……だれ……?
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[005]いや……うるさい……。
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[006]【???】
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[007]「……井っ、沢井っ!?」
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[008]あの声は……、なぎさ、先輩……?
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[009]重たい身体を両手で支えるように起こすと、
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[010]グラリと視界が回った。
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[011]【なぎさ】
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[012]「沢井っ!?
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[013] いるのっ、沢井?」
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[014]ん……なんだか吐き気が、する……。
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[015]【なぎさ】
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[016]「どうしたの?
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[017] 何かあったの?」
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[018]グラグラゆれる視界。
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[019]何とか玄関までたどり着いたものの、
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[020]わたしはその場にへたり込んだ。
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[021]【かおり】
>

[022]「なぎさ、先輩……」
>

[023]【なぎさ】
>

[024]「沢井っ!?
>

[025] そこにいるのね?」
>

[026]【かおり】
>

[027]「……はい」
>

[028]【なぎさ】
>

[029]「どうしたの?
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[030] 無断欠勤なんて沢井らしくないよ?
>

[031] みんな心配してるのよ?」
>

[032]【かおり】
>

[033]「わたし……ダメ、なんです」
>

[034]【なぎさ】
>

[035]「どうして?」
>

[036]【かおり】
>

[037]「怖い……。
>

[038] きっと、わたし、殺される……」
>

[039]そう。
>

[040]ドアを開けたら、殺されてしまう。
>

[041]ドアの外には怖いものが待ち構えている。
>

[042]わたしを、殺そうと……。
>

[043]【なぎさ】
>

[044]「殺されたりしないわ。
>

[045] あたしが、沢井を守ってあげる」
>

[046]優しい、なぎさ先輩の声。
>

[047]【なぎさ】
>

[048]「ここにはあたしの他には誰もいないわ。
>

[049] 沢井を傷つけるような人は、誰もいないの」
>

[050]でも……。
>

[051]【かおり】
>

[052]「だって、
>

[053] ドアを開けたら、殺されちゃう……」
>

[054]【なぎさ】
>

[055]「バカね。
>

[056] そんなこと、誰にもさせない。
>

[057] 沢井のことは、あたしが全力で守るから」
>

[058]なぎさ先輩の優しい声が、心にしみこんでくる。
>

[059]恐怖に震えていたわたしの心が、
>

[060]ゆっくりとあたたかいもので満たされていく気がした。
>

[061]【かおり】
>

[062]「なぎさ先輩……助けて……」
>

[063]【なぎさ】
>

[064]「助けるわ。
>

[065] あたしがあなたを助けてあげる。
>

[066] 沢井を傷つける全てのものから守ってあげる」
>

[067]ドアの向こうにいるなぎさ先輩の気配が、
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[068]とてもあたたかくて力強い。
>

[069]【なぎさ】
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[070]「沢井、あたしを信じてここを開けて。
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[071] あたしは沢井を守る。
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[072] 全力で守るって、約束するから……」
>

[073]ゆっくりとドアに手を伸ばす。
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[074]ふと、これは罠かもしれないと思った。
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[075]ドアを開けてはいけない。
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[076]開けたら殺される。
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[077]でも、ドアの外では
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[078]なぎさ先輩の優しい声が呼びかけている。
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[079]【なぎさ】
>

[080]「怖いものなんか、あたしが追い払ってあげる。
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[081] 心配しないで、あたしを信じて」
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[082]【かおり】
>

[083]「なぎさ、先輩……」
>

[084]なぎさ先輩を、信じる。
>

[085]恐怖と不安でいっぱいの心を制して、
>

[086]わたしはゆっくりと扉の鍵を開けた。
>

[087]【なぎさ】
>

[088]「沢井っ!
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[089] よかった……っ!」
>

[090]ドアを開けるなり、飛び込んできたなぎさ先輩が
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[091]わたしを力一杯、抱きしめてくれる。
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[092]【なぎさ】
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[093]「もうっ、おバカ、こんなに心配かけてっ!
>

[094] 本当に、沢井になにかあったらどうしようって
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[095] すごく怖くて……不安だったのよ!」
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[096]【かおり】
>

[097]「なぎさ先輩……あったかい……」
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[098]なぎさ先輩の後ろでドアが閉まっていく。
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[099]ドアの内側には、なぎさ先輩がいた。
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[100]怖いものなんか、いなかった。
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[101]わたしを殺す人なんか、いなかった。
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[102]【なぎさ】
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[103]「ほら、安心して?
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[104] こうして鍵を閉めておけば、大丈夫。
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[105] もう誰も来ないし、入ってこられないから」
>

[106]【かおり】
>

[107]「はい」
>

[108]【なぎさ】
>

[109]「それにしても、本当に沢井ったら……」
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[110]なぎさ先輩の目が涙で潤んでいた。
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[111]なぎさ先輩、
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[112]こんなに心配してくれてたんですね……。
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[113]【なぎさ】
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[114]「やだっ、すごく顔色が悪いわ!
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[115] ちょっと横になりなさい。
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[116] ご飯は食べたの?」
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[117]なぎさ先輩に支えられて、
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[118]ベッドに連れていかれる。
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[119]けれど、立ち上がりかけたなぎさ先輩の腕を
>

[120]わたしは慌てて掴んだ。
>

[121]【かおり】
>

[122]「いや……、なぎさ先輩、
>

[123] どこにも行かないで……?」
>

[124]【なぎさ】
>

[125]「どこにも、って……。
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[126] 何かお腹に入れられるものを探すだけよ?」
>

[127]わたしはなぎさ先輩の腕を掴んだまま、
>

[128]ふるふると頭を振る。
>

[129]【かおり】
>

[130]「いや……、離れちゃ、いや……」
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[131]ギシッとベッドが揺れる。
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[132]わたしに袖を掴まれたまま、
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[133]なぎさ先輩は、わたしのベッドに座ってくれた。
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[134]【なぎさ】
>

[135]「もう、しょうがないわね。
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[136] 沢井ったら、今日はすごく甘えん坊さんなのね」
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[137]優しい声。
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[138]お願い、今だけで良いから
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[139]甘えさせてください……。
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[140]【かおり】
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[141]「だって、怖かったんです……。
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[142] 本当に殺されるかと思って……」
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[143]【なぎさ】
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[144]「殺されるって、誰に?」
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[145]なぎさ先輩の手が優しくわたしの額に触れて。
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[146]そのままゆっくりとわたしの頭を撫でてくれる。
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[147]とても、気持ちがいい……。
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[148]【かおり】
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[149]「車を運転しながら、わたしを殺すの。
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[150] 笑いながら、殺しにやってくるの……」
>

[151]ふわり、ふわり。
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[152]なぎさ先輩の細くて、少し冷たい手が
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[153]ゆっくりと額を撫で続ける。
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[154]その冷たさに、
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[155]寝不足と興奮で上気した顔が
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[156]冷やされていく……。
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[157]【なぎさ】
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[158]「そんなヤツ、あたしがやっつけてあげるわ」
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[159]【かおり】
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[160]「……そんなことしたら、
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[161] なぎさ先輩が危なくなっちゃう……」
>

[162]わたしの言葉に、なぎさ先輩はクスッと笑う。
>

[163]【なぎさ】
>

[164]「大丈夫よ、任せなさい!
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[165] あたしは沢井を守るためなら
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[166] たとえ火の中、水の中!!」
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[167]【かおり】
>

[168]「火の中、水の中って……」
>

[169]思わず笑ってしまったわたしの頬に、
>

[170]なぎさ先輩の指先が触れた。
>

[171]【なぎさ】
>

[172]「やっぱり沢井は、そうやって笑ってるのがいい。
>

[173] 笑顔が一番、沢井らしいんだから」
>

[174]【かおり】
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[175]「なぎさ先輩……」
>

[176]【なぎさ】
>

[177]「あたしがいつも一緒にいるわ。
>

[178] 一緒にいて、いつだって守ってあげる」
>

[179]ふっとなぎさ先輩が微笑んだ。
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[180]【なぎさ】
>

[181]「だから安心して、おやすみなさい。
>

[182] あたしがそばにいる限り、
>

[183] 沢井には誰にも指一本、触れさせはしないから」
>

[184]なぎさ先輩の指、冷たくて気持ちいい……。
>

[185]【かおり】
>

[186]「なぎさ先輩……」
>

[187]【なぎさ】
>

[188]「なぁに?」
>

[189]【かおり】
>

[190]「ずっと、一緒にいてくださいね」
>

[191]【なぎさ】
>

[192]「ずっと、一緒にいるわ」
>

[193]【かおり】
>

[194]「もっと近くにいてくれなきゃ、いやです」
>

[195]【なぎさ】
>

[196]「もっと?」
>

[197]わたしは頷いて布団をめくった。
>

[198]【かおり】
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[199]「そばに、いてください」
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[200]【なぎさ】
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[201]「もう、本当に今日は甘えん坊さんね」
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[202]【かおり】
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[203]「今だけ……今だけだから」
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[204]【なぎさ】
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[205]「いいわよ、一緒に寝てあげる。
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[206] だから安心して、ちゃんと休むのよ?
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[207] いいわね?」
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[208]【かおり】
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[209]「はい」
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[210]にっこり笑って
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[211]わたしはベッドを半分開けた。
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[212]なぎさ先輩はそこへ入ってきてくれる。
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[213]【かおり】
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[214]「なぎさ先輩……」
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[215]【なぎさ】
>

[216]「なぁに?」
>

[217]【かおり】
>

[218]「ありがとう……」
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[219]なぎさ先輩はぎゅっとわたしの頭を引き寄せてくれた。
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[220]吐息がかかりそうなほど近くにある、
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[221]なぎさ先輩の桜色の唇。
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[222]【なぎさ】
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[223]「お礼なんかいらないわ。
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[224] あたしがやりたいからやってるだけで。
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[225] 沢井のことを守れるのはあたしだけだから」
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[226]キュッと結ばれた桜色の唇に、
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[227]わたしは自ら額を押し当てた。
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[228]【かおり】
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[229]「せん、ぱい……」
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[230]なぎさ先輩に抱きしめられ、安堵の波が広がっていく。
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[231]なぎさ先輩がいてくれるこの部屋は、安全。
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[232]なぎさ先輩がいれば、怖いことは起こらない。
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[233]【なぎさ】
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[234]「おやすみなさい……」
>

[235]なぎさ先輩の声を聞きながら、
>

[236]わたしはゆっくりと深い眠りの闇へと落ちていった。
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List of all oneshots
List of all series

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