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Full text: 213 lines
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[001]仕事が終わって、今日はなぎさ先輩と
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[002]一緒にお部屋で夕食を食べることになった。
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[003]……とはいっても
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[004]現実は、わたし部屋での飲み会で
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[005]すでに空っぽのビール缶が二本、転がってる。
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[006]ガールズトークといえば
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[007]聞こえはいいけれど……。
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[008]【なぎさ】
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[009]「でねっ、これが味チョー薄くて
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[010] まっずくてさー。
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[011] って、聞いてる、沢井〜?」
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[012]【かおり】
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[013]「聞いてますよ〜。
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[014] えっと、糖尿病の患者さんの食事が
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[015] 美味しくないって話ですよね?」
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[016]【なぎさ】
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[017]「そうなのー。でもね、それは仕方ないことなのー。
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[018] 高血糖だから一生食うなってわけにもいかないから
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[019] こっちは一生懸命やってるのよ〜?」
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[020]【なぎさ】
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[021]「でも、じゃあお前が食べてみろよって、酷くない?
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[022] つーか、あんたの不摂生のツケを
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[023] どーしてあたしが食べなきゃいけないわけ!?」
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[024]なぎさ先輩はそのことを思い出したのか、
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[025]すごく微妙な表情で舌を出した。
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[026]……不味かったらしい。
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[027]【かおり】
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[028]「そりゃあ、減塩食になっちゃうし、
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[029] カロリー制限もかなりかかってきますしね。
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[030] って、患者さんのを食べちゃったんですか!?」
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[031]【なぎさ】
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[032]「だーって、食べてみろって突き出すんだもん。
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[033] 嫌だなんて言えないでしょう?
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[034] 食べられないもの出してるのかとか言われるし」
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[035]【かおり】
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[036]「うーん、そりゃそうですけど。
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[037] でも患者さんの食事を食べちゃうなんて、
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[038] まずくないですか?」
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[039]【なぎさ】
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[040]「だから不味かったって話してるの〜」
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[041]【かおり】
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[042]「いや、だから、その不味いじゃなくて。
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[043] 主任さんとかに知られたら怒られそうだし……」
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[044]【なぎさ】
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[045]「じゃあ、主任が食べてみろっていうのよ。
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[046] ほんっとに不味いんだから、うちの糖尿病食!」
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[047]【かおり】
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[048]「まぁ、そうですけどねぇ」
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[049]なぎさ先輩はその時の怒りを思い出してきたのか
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[050]次第にヒートアップしていく。
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[051]【なぎさ】
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[052]「だいたい内科にはワガママな患者が多すぎ!」
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[053]【かおり】
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[054]「あ、それはよく聞きますよね。
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[055] 長期入院とか長期治療になるから、どうしても
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[056] 仕方ないことなんだと思いますけど」
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[057]【なぎさ】
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[058]「でもそういうののイライラをこっちに
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[059] ぶつけられても困るってーのよ!
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[060] どうにかしてあげられるならともかく!」
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[061]【かおり】
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[062]「そうなんですよね。
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[063] 子どもたちとか制限がある子だと
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[064] 特に退屈で仕方ないみたいですし」
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[065]【なぎさ】
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[066]「たまに遊んであげるけど、あの子たち、
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[067] 外に出られない分エネルギーが余ってて
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[068] 半端なく大変なんだよ〜」
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[069]【かおり】
>

[070]「そうですよね。
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[071] 学校にも行けないし、友達にも会えないし、
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[072] 勉強とか練習が遅れる焦りとかもあるみたいだし」
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[073]【なぎさ】
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[074]「男の子なんか悪戯ばっかりするしさ」
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[075]【かおり】
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[076]「そうですよねぇ。
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[077] あの悪戯ばっかりは……」
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[078]わたしもスカートをめくられたんだよね……。
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[079]カーッと顔が熱くなる。
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[080]【なぎさ】
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[081]「ま、おかげであたしは沢井の可愛いパンツ、
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[082] ばっちり見られたってわけだけどね」
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[083]【かおり】
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[084]「なーぎーさー先輩!」
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[085]【なぎさ】
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[086]「あははっ、冗談だってば〜!
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[087] ところで最近どう?
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[088] そろそろ慣れてきた?」
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[089]軽くかわされて、わたしは唇をとがらせる。
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[090]もう、なぎさ先輩ってば
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[091]酔ってんだか酔ってないんだかわかんないっ。
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[092]【かおり】
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[093]「なぎさ先輩のおかげで、だいぶ慣れてきたと思います。
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[094] とはいえ、まだまだ不安がいっぱいだし
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[095] 独り立ちには程遠いと思いますが……」
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[096]【かおり】
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[097]「あ! 『沢井さんは注射が下手だから』って言って
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[098] ずっと敬遠されてた患者さんがいるんですが
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[099] やっと昨日、黙って腕を出してくれたんですよ!」
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[100]【なぎさ】
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[101]「へぇ!
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[102] 認められたってとこかな?」
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[103]【かおり】
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[104]「終わった後は、やっぱ痛かったって
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[105] 言われちゃったんですけどねー」
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[106]【かおり】
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[107]「でも、またお願いって言われたんです!
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[108] これって大進歩ですよね!?」
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[109]【なぎさ】
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[110]「進歩、進歩!
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[111] その患者さんに受け入れてもらえたって
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[112] 思っていいんじゃない? 良かったね!」
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[113]【かおり】
>

[114]「わーいっ!」
>

[115]【なぎさ】
>

[116]「あらま、無邪気にはしゃいじゃって。
>

[117] 一人成功したからって気を抜いちゃダメよ?
>

[118] 患者さんはみんなナーバスになりやすいんだから」
>

[119]【かおり】
>

[120]「はいっ。
>

[121] でもやっぱり嬉しくて〜」
>

[122]ぽんぽんと、頭に手を乗せられる。
>

[123]【なぎさ】
>

[124]「うんうん、
>

[125] そういう気持ちって大事だよね。
>

[126] あたしも思い出すなぁ」
>

[127]【かおり】
>

[128]「はるか遠い昔の記憶ですか?」
>

[129]【なぎさ】
>

[130]「そうそう。あれは日露戦争が――」
>

[131]【なぎさ】
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[132]「って、どんだけあたしを年寄り扱いするの!
>

[133] あたしは沢井とひとつ違いでしょっ!」
>

[134]【かおり】
>

[135]「あいたっ。
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[136] だってなぎさ先輩ノリいいんだもん」
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[137]出たよ、なぎさ先輩のデコピン攻撃!
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[138]ううっ、おでこがジンジン痛い……。
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[139]【なぎさ】
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[140]「先輩をからかうんじゃないの!」
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[141]【かおり】
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[142]「きゃーん、ごめんなさーい!」
>

[143]【なぎさ】
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[144]「いーや、許しませんっ!
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[145] 悪い沢井はお仕置きしちゃうっ!」
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[146]言うなりわたしにタックルをかけ、
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[147]なぎさ先輩は床に押し倒すと
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[148]わたしのわき腹をくすぐりはじめた。
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[149]【かおり】
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[150]「ひっ! やーん!
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[151] ごめんなさいっ、なぎさ先輩、許して〜っ!」
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[152]やぁん、わき腹は弱いのーーーっ!
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[153]【なぎさ】
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[154]「先輩をからかう悪い子はどこだ〜っ!」
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[155]【かおり】
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[156]「はうっ、そ、そこは、だめぇ〜っ!
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[157] ゆ、許してください〜。
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[158] ひゃぁぁあぁん!」
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[159]くすぐられて息ができないくらい苦しいのに
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[160]先輩はわたしの上にまたがって、
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[161]逃げられないよう、がっちりホールドして……。
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[162]【かおり】
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[163]「あはは、あ、あんっ!
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[164] も、許してぇ!
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[165] あひゃひゃ……ホントにだめぇ!」
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[166]【なぎさ】
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[167]「ふっふっふー。
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[168] あたしに逆らうとどういう目に遭うか、
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[169] よーくわかったかな、沢井くん?」
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[170]【かおり】
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[171]「わっ、わかりましたぁ!
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[172] もうっ、十分、わかりましたぁ!」
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[173]【なぎさ】
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[174]「じゃあ、ここで許してやるか〜」
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[175]やっとわたしの上からなぎさ先輩がどいてくれた。
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[176]ふー。
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[177]【かおり】
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[178]「はぁ、はぁっ……。
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[179] な、なぎさ先輩……」
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[180]【なぎさ】
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[181]「ん〜?」
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[182]ビールを片手に油断した先輩にタックル!
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[183]【なぎさ】
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[184]「きゃあぁっ?!」
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[185]【かおり】
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[186]「うふふふふっ、下克上です、よ」
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[187]【なぎさ】
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[188]「さ、沢井。
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[189] あんた目がイッちゃってる……」
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[190]【かおり】
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[191]「くすぐり下克上、開始〜っ!」
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[192]【なぎさ】
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[193]「や、やめてぇぇぇぇぇ!
>

[194] ひっ、あぁんっ! ちょっ、そこ、いやっ。
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[195] だめぇ〜っ!」
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[196]【なぎさ】
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[197]「さ、沢井っ!
>

[198] もうやめてぇっ!」
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[199]【かおり】
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[200]「さーわーいー?」
>

[201]【なぎさ】
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[202]「ひぃぃっ!
>

[203] さ、沢井さまっ、かおりさまっ!
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[204] どうかお許しを〜っ!」
>

[205]【かおり】
>

[206]「んふふふっ、
>

[207] どうしよっかなぁ」
>

[208]【なぎさ】
>

[209]「ひぃ〜っ、もっ、だめぇ〜っ!」
>

[210]なぎさ先輩の悲鳴が響き渡る。
>

[211]うふふ……
>

[212]これって結構、快感、かも。
>

[213]ちょっぴり大人になった気がした夜だった。
>

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