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Full text: 151 lines
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[001]【かおり】
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[002]「んっふっふ……」
>

[003]なぎさ先輩へのお土産を手にすると、
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[004]自然と笑いがこみ上げてくる。
>

[005]【かおり】
>

[006]「なぎさ先輩、
>

[007] 今頃は申し送り中かなぁ……」
>

[008]そう思いつつ、
>

[009]ベッドにもたれてメールを打ってみた。
>

[010]【かおり】
>

[011]「はっ!?」
>

[012]わたしったら、
>

[013]ちょっと寝ちゃってたみたい。
>

[014]【かおり】
>

[015]「はーいっ!」
>

[016]【なぎさ】
>

[017]「お招きありがとう……って、
>

[018] さっきまで寝てたでしょう〜?」
>

[019]【かおり】
>

[020]「ほへっ!?
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[021] 何でわかったんですか!?」
>

[022]【なぎさ】
>

[023]「ほっぺに布の跡がついてるわよ」
>

[024]【かおり】
>

[025]「ふひっ!」
>

[026]慌ててゴシゴシとほっぺたを拭いた。
>

[027]なぎさ先輩はニコニコしながら、
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[028]慣れた様子で部屋に入ってくる。
>

[029]【なぎさ】
>

[030]「お邪魔しまーす」
>

[031]【かおり】
>

[032]「はいどうぞー」
>

[033]なぎさ先輩の持ってきたビールを
>

[034]テーブルに並べて……と。
>

[035]【なぎさ】
>

[036]「ぷはーっ!
>

[037] この一杯で、仕事の疲れが吹っ飛ぶって
>

[038] 気がするー!」
>

[039]【かおり】
>

[040]「ですよねー!」
>

[041]【なぎさ】
>

[042]「何よ、沢井は今日はお休みだったでしょ!!」
>

[043]あ、そうだった、
>

[044]忘れるところだった!
>

[045]【かおり】
>

[046]「なぎさ先輩、これどうぞ!!」
>

[047]ラッピングされた鏡を渡す。
>

[048]【なぎさ】
>

[049]「あ〜ん?
>

[050] 何よ、これ?」
>

[051]【かおり】
>

[052]「開けてみてください!!」
>

[053]【なぎさ】
>

[054]「あらぁ、可愛い鏡〜!」
>

[055]【かおり】
>

[056]「じゃじゃーん!
>

[057] わたしのとお揃いなんですー!!」
>

[058]【なぎさ】
>

[059]「やだー!」
>

[060]【かおり】
>

[061]「ちょっ!?
>

[062] どうしてそこで『やだー』なんですか!!」
>

[063]【なぎさ】
>

[064]「あっはっは、
>

[065] 言葉のアヤというものだよ、沢井くん」
>

[066]やだーとか言いながらも、
>

[067]何だかんだで嬉しそうななぎさ先輩。
>

[068]【かおり】
>

[069]「今日はね、神庫に行ってたんです。
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[070] で、これくらいのサイズだと
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[071] 白衣のポケットにも入るし、いいなーって思って」
>

[072]【なぎさ】
>

[073]「……ってことは、
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[074] 結構、お金かかったんじゃない?
>

[075] バイトさんや派遣さんとか入れると……」
>

[076]【かおり】
>

[077]「やだなー、
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[078] この鏡は、わたしとなぎさ先輩の分しか
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[079] 買ってませんよ?」
>

[080]【かおり】
>

[081]「詰所の皆さんにはお菓子買ってきたんで、
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[082] それで勘弁してもらわないと、
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[083] 全員分なんて、さすがに破産しちゃいそうです」
>

[084]【なぎさ】
>

[085]「…………」
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[086]一瞬、なぎさ先輩が無口になった。
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[087]【かおり】
>

[088]「あ、あの……やっぱり
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[089] 全員分、何か買った方が良かったですか……?」
>

[090]【なぎさ】
>

[091]「や、やーね、そうじゃないの!
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[092] 沢井があたしだけにお土産を買ってきてくれたことに、
>

[093] ちょっと感動してただけよ、やーねぇ、もー!」
>

[094]【かおり】
>

[095]「そう……なんですか?」
>

[096]【なぎさ】
>

[097]「そーよぉ! あの小さかったかおりが、
>

[098] 先輩に気を遣えるまでに成長したなんて、
>

[099] お姉さん、嬉しいっ!!」
>

[100]【かおり】
>

[101]「……なぎさ先輩、
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[102] もう酔っ払ってるんですか?」
>

[103]【なぎさ】
>

[104]「んまっ! 何て冷たい言い方なの!!
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[105] お姉さん、あなたをそんな子に育てた覚えは
>

[106] ありません!!」
>

[107]【かおり】
>

[108]「……わたしも、なぎさ先輩なんかに
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[109] 育てられた覚えはありませんー!」
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[110]わざと生意気な感じで言ってみた。
>

[111]【なぎさ】
>

[112]「あーっ!
>

[113] 今、なぎさ先輩『なんか』って言ったなー!!」
>

[114]むぎゅーっと、なぎさ先輩が抱きついてきた。
>

[115]【なぎさ】
>

[116]「んふふー、
>

[117] でも、今日は気分がいいから、許してやろう。
>

[118] 嬉しいでしょ、かおりたーん?」
>

[119]【かおり】
>

[120]「ひょわぁっ!?」
>

[121]すりすりと
>

[122]猫のように肩口に頬を押し付けられる。
>

[123]【なぎさ】
>

[124]「かおりたんはあたしだけのものよねー」
>

[125]【かおり】
>

[126]「もう、何、言ってるんですか?」
>

[127]【なぎさ】
>

[128]「あたしだけのものって言えー!!」
>

[129]【かおり】
>

[130]「あー、もう、はいはい、
>

[131] なぎさ先輩だけのものですー」
>

[132]【なぎさ】
>

[133]「んふふ、嬉しーい!
>

[134] お礼にチューしてあげるー」
>

[135]【かおり】
>

[136]「きゃーっ!?
>

[137] なぎさ先輩、顔が近いですー!!」
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[138]思わず、ぎゅーっと手を伸ばして、
>

[139]なぎさ先輩の暴挙からガードした。
>

[140]【なぎさ】
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[141]「ちっ、
>

[142] 今日は取り敢えずほっぺとほっぺを
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[143] くっつけるだけにしといてやるわ」
>

[144]【かおり】
>

[145]「……もう、
>

[146] なぎさ先輩が何を言っているのか、
>

[147] さっぱりわかんないですよぅ……」
>

[148]とはいえ、
>

[149]鏡のプレゼントは喜んでくれたようで、
>

[150]良かった良かった!
>

[151]……んだよね。
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List of all oneshots
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