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銀色の光が瞼の裏を焼く。
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神社に朝が訪れていた。
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「ん……朝……?」
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私の側では奈岐が猫のように丸まったまま寝息を立てている。
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昨晩は奈岐が起きてから、ご飯を食べて水浴びをして……
と、ある意味で大忙しだった。
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遠山先輩達のことは、奈岐の話によれば事情を話した上で
説得を試みたらしい。
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奈岐にしては正攻(BROKEN:8_20)
選択肢だったのかもしれない。
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その説得に時間がかかって、到着が遅れたと語っていた。
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とにかく、どちらも穏便に済ませてくれて良かったと思う。
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「ガジ……?」
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「ニャーン?」
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奈岐の側で寝ていたと思ったガジが社の外に出て行く。
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同じくようにして隣にいたヤヤの姿が無かった。
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社の内にヤヤがいないから、捜しに出たのだろうか?
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私はガジを追いかけるようにして外に出る。
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朝日が眩い、社の外にガジが飛び出し駆けていく。
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そして、その先にいたヤヤがガジを両手で抱きかかえた。
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「おっはよー、ガジ。ガジも朝の体操する?」
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「ニャーン!」
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手足を動かす様は体操より、頭の定位置に戻りたいと
鳴いているようにも聞こえた。
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「ガジは食いしん坊だから運動しないとダメだよー?」
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「ヤヤ、おはよー」
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「ん、カナカナも起きてきたんだ」
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声を掛けると、ヤヤが笑顔で振りかえる。
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「うん、目が覚めてね。奈岐はまだ寝てる」
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「ふふっ、ナギっちは夜行性だしね」
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「末来さん達は?」
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「理事長達は神社の下にいるよ。ミライっちも」
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今日の作戦会議とかかな……?(BROKEN:8_20)
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「それでヤヤは準備運動中?」
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「そそ、今日はいっぱい動くみたいだしねー。
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穢れと戦う……か。
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末来さんは、かなり気の濃い場所だと言っていた。
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中村さんと戦っていたヤヤの姿が頭に過ぎり、
心に僅かな不安が生まれてしまう。
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「カナ、心配そうな顔してる」
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そう言ったヤヤはガジへ視線を戻す。
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その様子がどこか儚げに思えて胸が痛んだ。
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「ごめん、緊張しちゃって」
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「ふふっ、ヤヤのことだよね。顔に書いてあるよ」
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「……意識しないようにしてたんだけどね」
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「一度ああなるとさ、ホント抑えられないんだよね。
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どこか遠いところを見るようにしながら、
ヤヤは言葉を続けていく。
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「前に……ナギっちに言われたじゃん。何人殺したって」
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「…………」
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「七年前さ、松籟会の指示でヤヤの家が動くことになった事件が
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七年前……お母さんが島に戻った時?
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「松籟会に反抗した諏訪家――
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「当時、星霊石の力をやっと使えるようになってたヤヤには、
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「ヤヤ……」
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俯いたヤヤの表情が見えない、感情が読めない。
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「理事長がさ、穢れを倒せるぐらい強い人達を本土から連れて
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「最初は……凄く嫌な感覚だった。でもさ、血が騒ぐんだ。
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「途中から何も考えられなくなって、ただ狩りをしていた。
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「気付いたら、ホントに何人殺したか分からなくなってた」
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「悪いことをしているって意識はあったけど、
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そう言いながらも、ヤヤの頬には涙が伝っていく。
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「ヤヤ……」
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「そんなヤヤがさ、呑気にこうしてガジを抱いて過ごしてる。
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「そんなこと……許されるような血が流れてないのにさ」
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これはヤヤがずっと抱え込んできたこと。
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自身の血に対しての意識……それは恐怖に近いもの。
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何よりも今のヤヤが見せる涙が全てを物語っていた。
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「ヤヤはそんな自分が怖いんだね」
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「……カナ?」
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ヤヤが振り返ると、再び頬に涙が伝っていく。
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「頭で分かってても止めることが出来ない。
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「ヤヤのは、もっと逆らえないものなんだろうけどね」
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「…………」
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「前に言ったけど、そんなヤヤもヤヤだから。
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「ヤヤ――昔のこと、話してくれてありがと」
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「またヤヤのことを一つ知った、だから何度でも言う」
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「私はヤヤが大好きだよ」
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「その身体に流れる血と向かい合うのは怖いと思う」
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「でも、私が側にいるから。どんなヤヤも大好きでいるから。
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驚いたように口を開いたヤヤがまばたきを繰り返す。
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その後、くしゃっと表情が崩れて泣きながら微笑む。
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「カナ……恥ずかしいこと言うねぇ」
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「ふふーっ、だってこういう時にしか言えないし」
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「あははっ、ありがと、カナ」
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「ヤヤはね、誰かがこうして背中を押してくれる時を
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「この身体に流れる血も自分の一部だから認めてあげないと
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「もう大丈夫だよ、カナ。
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「うん」
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「ありがと、カナ……
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それと同時に――仄かに勾玉から熱を感じた。
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でも、その熱はいつもと違うように思える。
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ヤヤの気を感じる……?(BROKEN:8_20)
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それに決戦が近いとお母さんが知らせてくれているように思え、
私は意識を改めようと息を吐き出した。
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(Recent Oneshots)

Isn't It Fine To XX Freely
That Red on Me
First Love Mint Blue
Summer Fuse
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Cubic Starship
Anaerobic Love
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Missing Rink Side:Rina
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(Recent Series)

The Rain and the Other Side of You
Hana ni Arashi
Kakegurui Yorozu
Tsubakuma!
Someday, We'll Get There
Honto no Kokoro
Hayate X Blade
Motto Hanjuku Joshi
Yuunagi Marbled
Strange Babies