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夜の社は真っ暗だからか、月明かりが際立っていた。
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浅い眠りから覚め、私は目を擦る。
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「ヤヤ……?(BROKEN:8_20)
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隣で一緒に休んでいたヤヤの姿が無かった。
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社内で視線を左右させると、僅かに開いた外の扉から、
月明かりが漏れていた。
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ヤヤは外にいるのだろうか?
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何となく足音を立てないようにしながら、私は社を出た。
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外も暗く、当然のように灯り一つ無い。
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理事長や末来さんは外にいると思っていたけど、
どこかに行っているのか、三人の姿も無かった。
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一人でいることに不安を覚えながら、
ヤヤの姿を求め、私は鳥居の下をくぐって歩いて行く。
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そして、階段の近くまで来ると、
見慣れたヤヤの背中が目に映った。
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そのすぐ側には銀色の長い髪が横たわっていて――。
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「奈岐……」
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「カナカナ、そーっとね。ナギっち、寝ちゃってるから」
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静かな寝息を立てながら奈岐はヤヤの膝を枕にしていた。
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相当疲れているのか、
髪をガジに遊ばれていても起きる気配すらない。
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見たところ怪我も無く、無事に辿り着いてくれたようだ。
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「いつ戻ってきたの?」
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奈岐の姿に安堵しつつ、私は小声でヤヤに訊ねる。
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「ついさっきだよ。目が覚めて、ちょっと外に出たら、
(BROKEN:8_20)
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「で、危ないから捕獲したの」
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クスッと笑いながらヤヤが奈岐の頭を撫でた。
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それを真似るようにして、ガジが奈岐の髪でまた遊んでいる。
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「んっ……ん…………」
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再び奈岐が寝息を立て、僅かに頭を揺すった。
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そんな奈岐からヤヤの視線が私に戻って来る。
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「カスミ達も来てないし、ナギっち上手くやってくれたみたい」
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「末来さんと理事長達は?(BROKEN:8_20)
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「理事長達は周囲の警戒に行ったらしいよ。
(BROKEN:8_20)
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この近くに池なんてあったんだ……。
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今日は随分と走ったし、良かったら後で案内してもらおう。
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「あとで私達も水浴びしよっか。この時間なら冷たくて
(BROKEN:8_20)
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「ふふっ、いいねー。ナギっちに水かけて遊ぼっかー」
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それはそれで楽しそうと思ってしまう。
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「んんっ……んぅ……うぅ…………」
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そんな悪巧みに気付いたのか、奈岐がうなされている。
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私とヤヤは顔を見合わせ、クスクスッと笑った。
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「あとナギっちが起きたらご飯も食べないと。
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「あはは、私もだ。お昼食べ損ねちゃったからね」
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でも、こんなところにご飯なんてあるんだろうか?
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奈岐はここに隠れていたみたいだし、
あとで聞けば出てくるかな?
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そんなことを考えた後、私はヤヤと奈岐の隣に腰をかけた。
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「ね、ヤヤ、絶対無事に帰ってこよう」
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「どうしたの?(BROKEN:8_20)
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「今、こうしてる瞬間、凄く幸せだなって思えたから」
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「もっとこんな時間が続いて欲しいって思うから。
(BROKEN:8_20)
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「ふふっ、そうだね」
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「それに無事に帰らないと、葉子先生が怖いよー?」
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「うっ……」
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「あははっ」
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葉子先生の名前にすくみあがったヤヤがおかしくて吹き出す。
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こうしていられる時間が続ばいい。
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続かなきゃいけないと切に思う。
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この島でお母さんがやろうとしたことを……
私達が終わらせることが出来たなら、きっと。
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今よりも楽しい時間が待ってくれているはず。
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そう思いながら、私は夜空を見上げる。
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星の数は多く、都会とは比べものにならない。
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でも、この島に来てしばらく経った今は――
少しだけ見慣れてしまった。
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The Rain and the Other Side of You
Hana ni Arashi
Kakegurui Yorozu
Tsubakuma!
Someday, We'll Get There
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Hayate X Blade
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