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儀式という名の試合が終わり、
無事に部屋へ戻ってくることが出来た。
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松籟会の人達は最後まで動きを見せず、
奈岐も収穫が無いと肩をすくめている。
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ちなみに、第二試合は八弥子さんと中村さんの勝利に終わった。
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それぞれ戦闘を務めたのは、中村さんと遠山先輩だ。
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常時、攻勢を維持する中村さんと、
支援状態でも攻撃に参加していく八弥子さん。
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防戦を強いられる遠山先輩の援護に由布が回った時、
力のバランスが崩れ……敗北が決定した。
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遠山先輩を守りたいと思った由布の判断は間違ってなかったと
思うけれど、相手が悪かったとも思う。
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「次の戦う相手ぐらい教えてくれてもいいのにね」
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私はベッドに座り込みながら、奈岐に話しかける。
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奈岐はマントを椅子にかけると、私の隣に並んだ。
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「どちらが相手になるにしても、松籟会に縁のある者だ。
(BROKEN:8_20)
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「んー……遠山先輩はそんなことしないとは思うけど」
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「同感だ。警戒するべきは、私を鬼と呼んだ中村家の方か」
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鬼という言葉に若干(BROKEN:8_20)
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そんな様子を見て、私はベッドの上を移動し、
もふもふとした髪ごと奈岐を背中から抱きしめた。
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「ぎゅーっと」
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「……鼎?」
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「気を張ってる時の奈岐ってさ、一人称が私になるよね」
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「ここは寮の部屋なんだし、少し気を抜こう?」
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そう言ってから私は奈岐の頬に顔を寄せた。
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「……そうだな」
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少しだけ微笑んでくれた奈岐が私に頬をすり寄せる。
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そんな奈岐の髪を撫でてから、頬に何度か口づけていく。
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「んっ、ちょっとくすぐったい……」
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「ふふっ、それにしても、今日の奈岐の行動には驚いたよ」
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「驚いてもらえなかったら、それはそれでショックだ」
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そう言いながらも、みんなが驚くという確信があったのか、
奈岐は自慢げに唇に笑みを浮かべていた。
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「んー、今日の様子だと……理事長も協力してくれるの?」
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「それは読めないな。ただ現時点での利害は一致している」
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奈岐を止めに来た中村さんに対して、
秘書の人が割って入ってくれた。
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当然、それは理事長の指示なんだろうけど……。
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そんなことを考えていた時、部屋のドアが元気よくノックされた。
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「カナカナ、奈岐っち、いるー?」
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「ん、禰津か」
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奈岐が開けてもいいと視線で合図をくれたので、
ベッドから離れてドアを解錠する。
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「やっほー、二人とも今日はおめでとー!」
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相変わらず元気いっぱいの八弥子さんが私にハグを――
しようとして立ち止まった。
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「あ、カナカナからナギっちの匂いがするっ……お邪魔した?」
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「……ね、禰津っ!(BROKEN:8_20)
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そんなに顔を赤くしたら丸わかり、と内心で奈岐に言っておく。
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「ふふっ、今日の感想を言いに遊びに来た」
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「だってさ、ナギっち、すっごいビックリさせてくれたじゃん」
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八弥子さんが歩いて行き、奈岐の頭をもふもふと撫でる。
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「うぅぅ、、禰津はもふもふするなーっ」
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「カナカナならいいのに?」
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「そ、それは……とにかくっ、今日のアレ、禰津はどう思った?」
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「んー……ナギっち達、何か凄いこと知ってるの?」
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「内容は言えないが――そうだな、知っている」
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「相変わらず、危なそうなことしてるなあ」
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八弥子さんの心配げな視線が、奈岐から私へやってくる。
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「あはは、安全なことはしてないですね」
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「ヤヤはね、カナカナとナギっちの味方でいたいし、
(BROKEN:8_20)
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「八弥子さん、ありがとうございます」
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「礼は言う。だが、禰津、荒事になるかもしれない。
(BROKEN:8_20)
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「ふふっ、ナギっちはホント物知りだなぁ」
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八弥子さんが再び奈岐の頭をもふもふと撫で始めた。
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「気にかけてやったのに、もふもふするなっ」
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戦うことに対して、奈岐は八弥子さんに気を遣ってるのは、
前にも聞いたことがある。
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その理由は秘密というのが、あらためて気になった。
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「この一件が片付けば、話せる時も来る」
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「…………」
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私を視ていたのか、奈岐がどこか寂しげに微笑む。
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その後、すぐに八弥子さんの腕を掴み、頭から引き離していく。
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「禰津、だから、もふもふするなーっ!」
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「ナギっちは優しいなぁー、カナカナは幸せものだね」
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「あはは……カマかけられてるというより、もうバレてますよね」
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「ふふふーっ」
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にんまりと笑う八弥子さんを見てると、
もう何もかもお見通しといった様子だった。
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「うぅぅ……」
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でも、奈岐がこんなに真っ赤になっていれば、すぐに分かるよね。
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その後、しばらく八弥子さんから色々と根(BROKEN:8_20)
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途中で耐えきれなくなった奈岐がシーツに潜って隠れたり、と……それはそれで楽しい時間だったと思う。
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そんなことをしつつ、私達は次の試合までの休息を取った。
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The Rain and the Other Side of You
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