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チャイムの音が鳴り響き、昼休みの時間を告げる。
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「鼎、今日はどうするの?」
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「由布は今日も集まり?」
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「当然よ」
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「私はいつものごとくパスで、それに用があるから」
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「ふーん……」
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「それじゃね」
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そう言って、私は由布と別れ教室を後にした。
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そういえば、中村さんは今日も遅めに教室に入ってきたのに、
さっき私が教室を出た時にはすでにいなかったけど……。
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いつの間に出て行ったんだろう……。
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でも、中庭には中村さんの姿は無いし、どういうことだろう?
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そう思っていると、後ろから声を掛けられる。
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「!?」
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「す、すまないな、待たせた……」
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「え、ううん、大丈夫だよ」
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「で、用事って何かな?」
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「あ、ああ……その、なんだ……こういう事は初めてで……その
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「えっと……」
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彼女が大きな何かを隠して持っている事に気がつく、なんだろうと
思っていると、彼女はそれを私に向かって突き出す。
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「こ、これをっ、た、食べてくれっ!」
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それはとても大きな包だった。
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食べて?
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形状から見て、重箱……だよね、確かに私って結構な量を食べる
自信はあるけれど、さすがにこのサイズは……。
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「その……なんだ……親交を深めるには弁当を……作ってあげる
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「え、えっと……」
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「い、いらなかったな……すまない……」
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「えっ、そ、そうじゃなくって、ちょっと、いきなりだったから、
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「そ、そうか……それはよかった」
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「えっと、ここで?」
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「人目が気になるんだったら、どこか空き教室にでも入るか?」
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「空き教室?」
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「ああ、普段、鍵が掛かっていない空き教室がいくつかあるんだ」
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「えっと……勝手に使っても大丈夫なの?」
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「一度も文句を言われたことはないから、大丈夫だろう」
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「さ、いくぞ」
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「お、オッケー」
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私は中村さんと共に空き教室に誰もいないことを確認して、
教室に入った。
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「ここでいいか?」
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「え、あ、うん……」
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彼女は淡々と重箱の包みを開き、机に並べていく。
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やっぱり見た目通りで中も大量に食べ物が入っていた。
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見た目も、作りもハッキリ言ってバッチリだとは思うんだけど、
さすがの私もこれを全部食べるのは……ちょっと無理と思うほどの
量が入っていた。
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「高遠がどれくらい食べれるか分からなかったから、とりあえず
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「これって、朝に厨房で作ったの?」
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「仕込みも考えれば昨日の晩からだな。ほら、だし巻きは自信が
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「う、うん……はむっ……ホントだ、美味しいっ」
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「喜んでくれるのか!?(BROKEN:8_20)
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「さすが?」
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「な、なんでもない、こっちの話だ、ほら、遠慮せずにどんどん
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「じゃ、じゃぁ……こっちの唐揚げを……はむっ、鳥じゃないんだ
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「ああ、この時期はまだ脂が乗ってないから旬じゃないが、
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「カツオ!(BROKEN:8_20)
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「と、いうか意外……中村さんって……料理上手なんだね……」
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「意外とはなんだ、別に私は無骨な乱暴者というわけじゃないぞ」
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「な、なんだ、その違うの?(BROKEN:8_20)
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「だって……初めて会った時も、学園で会った時も……」
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「あ……あれは…………」
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「あの時はすまなかったな……私は……その、家に命令されたこと
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「私と今、仲良くしてるのも?」
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「確かに、それもある……しかし、今はその……なんだ、
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「……………………」
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「だから、この間、八弥子さんと話をしてたんだ……」
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「見ていたのか……」
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「あの人のアドバイスで、お昼の弁当を作ってあげれば、
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「それに、お前は大食いだから……と言っていた…………」
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だ、だからって、この量は無いよぉ……美味しいのは確かだけど、
私だってこれを食べきるのは難しそうだよ……も、もう……
八弥子さん恨みますよ……。
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でも、せっかく作ってきてもらったんだから……頑張って
食べないといけないよね……。
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「ご、ごちそう……さまぁ……もう、食べらんない……」
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「す、すごいな……お前……」
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「中村さんの料理がとっても美味しいから……な、なんだか、
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「そ、そんな……うまかったか……口にあって、よかった……」
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「予鈴か……ふむ、お重は私が片付けておくから、
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「え、わ、悪いよ……」
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「いや、いいんだ、その……ありがとう、高遠」
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「中村さん……」
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中村さんに感謝しながらも、食べ過ぎてかなり色々ピンチだったり
するんだけど……。
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私は素直に彼女の言葉に甘え、その場を去ることにした……。
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ひとまず保健室に行って、胃薬だけでも貰おう……。
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お腹が重くて……死んじゃう…………。
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保健室で薬を飲んで、気持ち楽になって教室に戻る途中、
八弥子さんに出会う。
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「カナカナどうしたの?(BROKEN:8_20)
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「元気が無いわけじゃないんですけど……お腹が重くて……」
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「食あたり?」
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「八弥子さんの策で私のお腹がパンパンです……」
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「策?(BROKEN:8_20)
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「ええ、大容量のお弁当攻撃に私はノックダウン寸前です、
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「えー、それはちょっと羨ましい……」
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「美味しいのが問題なんです。量が多い分、食べきれないと
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「んで、食べきれない量を一人で食べた……と、バカな子だねぇ、
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「ば、バカ???」
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「食べきれないから、一緒に食べてって言えばいいのにさ……」
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「あ……」
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「お互いが、お互いを思いやるってのが大事なんじゃないかな?」
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「それに、一人で食べるより、二人で食べる方が楽しいでしょ」
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「そろそろ本鈴なるよ、早く教室戻ったほうがいいんじゃない?」
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「わ、あ、ですね……」
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Hana ni Arashi
Kakegurui Yorozu
Tsubakuma!
Someday, We'll Get There
Honto no Kokoro
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