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午前中の授業の途中、突然の呼び出しで、御花会の全員が
学園長室に集められた。
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しかも、珍しい事に向山先輩までいるから驚きである。
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「皆さんに集まって頂いたのは緊急の用件があったからです、
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「でも、呼んだ……この時期ということは…………」
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「片倉さんの思っている通りの通達です、本来はこのような事、
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「学園としてはそれでいいの?」
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「良いとは思ってませんが、拒否するわけにもいかないのです」
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「………………」
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「あの、いったいなんの話なんですか?」
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「そうでしたわね……以前、巫女候補としての組合せを通達
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「ペアと決まった組み合わせが巫女となるわけではない、と……」
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「それは、どういう意味ですか……」
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「理事長、松籟会が最終的に巫女を選ぶのは知っていると
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「そして、模擬戦や祭事に向けての過程で、組み合わせを変える、
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「今年もですか……」
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「その通りです、本来はこのような事はしたくないのですが、
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「先に話を進めさせてもらいます、まずは向山さん」
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「…………」
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「禰津さんと組んでいただきます」
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「そうくるか……」
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「よろしくね、ナギっち」
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「つぎ、遠山さん……」
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「はい」
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「風間さんと組んでいただきます」
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「由布……と、はい……」
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「保科さんは三輪さんと、高遠さんは中村さんとお願いします」
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「あまり、何度も変更されるということは無いと思いますが、
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「それでは解散してください」
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「突然すぎて、全然ついていけないんだけど……」
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「私だって……」
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「ここ数年の間、一番多くて、祭りまでの間に三度変更が
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遠山先輩は私たちを励まそうとしていたが、由布とペアになれ、
少し嬉しそうな表情を浮かべているように感じた。
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「私の場合、誰がペアであろうと関係ない……ではな」
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「あれ、ナギっち、このまま授業もサボっちゃうの?」
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「うるさいっ、禰津っ、ついてくるなぁっ」
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「あの人たちは……まったく、私は授業に戻ります、あなたたちも
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「はい、姉様っ」
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遠山先輩は静かに教室へ戻っていった。
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「高遠、少しいいか?」
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「え、うん……いいけど」
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私は由布達と別れ、中村さんについて階段付近へやってくる。
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「どうしたの?」
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「いや……ペアの変更なんだが、明日は模擬戦があるからな、
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「しかし、今回の動きは妙に引っかかる気もする……」
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「中村さんの方がその辺は詳しいんじゃないの?」
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「私の家のことならな、祭納衆のことは私には分からない。
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「気をつけるって……言っても……」
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「それと……」
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「それと?」
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「私の足は引っ張るなよ……」
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そう言って、彼女は階段を降りていく。
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「って、中村さん、授業は?」
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「そんなものはどうでもいい、私は少し用がある、ではな」
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「ちょ、ちょっと……」
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「もう、なんだが、勝手な人だなぁ……」
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仕方がないので私は授業を受けるために教室へ戻った。
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教室に戻ると先に戻っていた由布が小声で話しかけてくる。
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「あの子なんか言ってた?」
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「なんだか、今回のペアの入れ替えは妙に引っかかるってさ」
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「確かにね……また晩にでもその話しよっか……」
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「そうだね」
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「今回のペア変更なんだけど……」
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「いつものことです、私にあの人たちの考えはわかりかねます」
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「そうだけど、ボクはあの人達が鼎を利用しようと考えている気が
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「中村さんと組ませる事が、何か意味がある……と?」
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「わからないけど……」
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「あなたに分からない事が私にわかるとでも?」
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「…………そうだね」
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「でも、良い方向に行く運命を信じているのでしょう?」
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「それはね……」
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「信じるしかありません……」
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夕食後、由布、恵と部屋でペア交代の事を話していた。
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「本当に急だったね……そういうことがあるって、
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「ここ数年は多いって言ってたね……」
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「確かに、そういう話は聞いてたけど……ってレベルよ」
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「それにしても、中村さんは何か引っかかる的なことを
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「うん、何がとは全く言ってなかったけど……」
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「なんだろうね……由布ちゃんは神住先輩とペアになれて、
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「それは……ね、でも、複雑な気持ちでもあるわよ、模擬戦だって
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「神住姉様の足を引っ張らないように……しないと」
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「あ、そうだ……姉様に呼ばれてたの忘れてた、ゴメンっ、
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「うん、私も部屋にもどるね……」
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「うん」
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由布と恵が部屋から出ていき、私ひとり部屋に残される。
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「足を引っ張らないように……か」
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中村さんの言ったことを思い出しながら、明日の模擬戦の事、
これからの事を考えながら過ごした……。
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「どうだった?(BROKEN:8_20)
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「はい……あと、中村の娘が探りを入れようと動いておりますが、
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「いいよ、放っておいても、彼女にはどうせ大したことは出来ない
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「ではそのように……」
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「さぁ、これからが楽しみだ……」
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