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休み時間になり、昨日の夜中にうろついた事を後悔していた。
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当たり前と言えば、当たり前だけど、とっても眠たくて、
授業中に眠気と戦うことになるとは思っていなかった。
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「結構、寝たのは寝たと思うんだけど、いつもとサイクルが変わる
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とりあえず、休み時間に少し外の空気を吸って、
眠気を覚まそうと考え、移動していた。
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ふと、考える。
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それにしても三輪さんはいつもあんなに遅くまで起きてて
大丈夫なのだろうか?
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そんな事を考えていると、本人が目の前に現れた。
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「あら、高遠さん……」
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私の顔を見るなり、不(BROKEN:8_20)
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そんなにあからさまに嫌がられるのも、
なんだか癪に触るんだけれども……。
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「…………」
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「昨日の事、というか別に人に話したりしないからさ、
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若干、自身の作り笑いの表情が硬いと思いながらも、
別に彼女に対して好意があるわけではないけれど、
敵意があるワケでもないので、出来れば同じ巫女候補として……。
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仲良くはなれなくとも、なんとか分かり合える部分を持ちたい。
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そう思う事は我がままなのかな?(BROKEN:8_20)
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「……本当ですの?」
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「うんうん、まぁ、話してなんの得にもならないしさ、斯く言う
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「確かに……そうですわね……」
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「わかりました、申し訳ありませんけど、その件はそうしていただ
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……別に三輪さんの点数を稼ぐ気なんて毛頭ないからねっ。
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と、心の中で言っておく。
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「では……私は教室に戻りますわ、あなたも早く戻らないと、
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「え、あ、うん……」
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三輪さんは何事もなかったかのように
シレっとして去っていった。
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よくよく考えるとこれも彼女の演技なのだろうか?
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などと、チラリと思ったけれど、そんな風に考えると
誰もが本心を語っていないような感じになってしまうので、
私は考えるのをやめることにた。
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一応、そろそろ予鈴が鳴ると彼女が言っていたので、
時間を確認する。
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確かに、予鈴が鳴るまであと一分というところ。
本鈴が鳴るのがその五分後だから、意外と時間はあると思い、
中庭まで早足で向かった。
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予鈴が鳴り終わった頃に中庭到着する。
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あと五分で授業が始まってしまうことを考えると、
長居は出来ないと思いながらあたりを見回す。
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もう五月の終わりだけれど、空気はすでに夏特有の暑さ、
というより、湿度を含んだジメリとした暑さだ。
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時折吹き寄せる潮風が、不思議と懐かしさを感じさせると共に、
ここは本州から少し離れた離島であるということを思い出させる。
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森に囲まれ、西洋風に作られた綺麗な庭を眺めながら、
この風景からは全然予想も出来ない事だなぁ、とか考えたり……。
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とりあえず、眠気を取るために、深呼吸をしようと、
大きく息を吸い込む。
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外の空気は、体内の毒素を一気に押し出すかのように広がって、
私を清々しい気持ちで満たしていく。
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そして、吸い込んだ息を一気に吐き出す。
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モヤモヤやイガイガとした想いも一緒に吐き出して、
心と体をリフレッシュさせる。
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私は人心地付けると、今度は大きく伸びをして空を見上げた。
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「さぁ、頑張らないとね」
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自分に言い聞かせるように言って、
中庭に眠気を置いて教室へ戻る事にした。
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教室に戻ってくると、すでにみんな授業の準備万端といった具合に
揃っていた。
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みんな、真面目なのね……。
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そんな事を思いながら自分の席に向かう。
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「もう、どこに行ってたのよ……」
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由布はいつものように小さな溜息を付きながらそう言った。
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「ちょっと、気分転換に中庭まで行ってきた」
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「次の授業は葉子先生なんだから、遅刻なんてしたら、
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葉子先生なんだから、と大変な事になる、がイマイチ頭の中で
合致せず、私は頭の上に疑問符を浮かべる事にした。
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「はぁ、説明するのもアレだから、あの人には基本逆らわない、
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「怒ったら怖いの?」
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「先輩達から散々聞かされてるっていうか、あくまで噂でしかない
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「な、なんだかよくわからないね……」
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由布はチラリと教室のドアを見て、まだ噂の本人が現れない事を
確認した。
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「確かに分からないんだけど、何にしても噂では、
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「見た目によらず、実はかなり怖い人だったんだね……」
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「あくまでも噂だからね、まぁ、いろんな話を聞かされてるから、
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「へぇ、興味本位で怒らせてみる……とか、してみたくなるのは、
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「やめておきなさいって、そういうのもやった事がある先輩が
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「ひ、引き篭る……」
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「そうよ、そして、引き篭っていた人を部屋から引きずり出した
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「しばらくして、その人は姿を消した……とか?」
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「いいえ、葉子先生の授業だけはありえないくらい、
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「へ、へぇ……」
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なんだか、聞いてるといい話に聞こえてくる……のは、気のせい?
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「ま、ともかく、葉子先生は優しくてとてもいい人だと思うけど、
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彼女がそう言うと、チャイムが鳴るよりも早く、
恐れられている人物が教室に入ってくる。
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彼女の笑顔からは恐れられているってのは、
とても想像は出来ないけど……。
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実際、人気もあるみたいだし、普段はとってもフレンドリーな感じ
がするだけに、妙な違和感を感じる。
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「はーい、もうすぐチャイムがなりますよー」
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確かに、葉子先生は授業の時はチャイムより前に教室にいる事が
非常に多い気はした。
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でも、授業にそもそも来ない事が多い中村さんとかに対しても、
怒りを見せるような事は一度も見たことがないし……。
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うーん、なんだか不思議だなぁ……。
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