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[Chloe]
ご苦労様。
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[Narration]
その後。
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[Narration]
広大な学園施設をあちこち引きずり回された新入生達は、この日の最後にと、大図書室へと案内されていた。
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[Narration]
さすがに疲れを見せる新入生達に、開口一番、クローエ・ウィザースプーンは、そう声をかけた。
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[Chloe]
安心しなさい。今日はこれで終わりよ。もともと、これだけ馬鹿げて広い船だもの。一日で回ろうって方が無理なのよ。
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[Chloe]
続きは明日ね。今日会った面々が、また、あなた達を案内してくれるわ。
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[Narration]
そう告げると、新入生達の顔に微妙な表情が浮かぶ。
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[Chloe]
予想通りね。騒がしかったことでしょうね。
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[Narration]
カウンターに座ったまま、腰もあげずに、クローエはため息混じりに言う。
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[Chloe]
ここは手短にすませてあげるわ。あなた達の図書カードはこちら。説明は、このペーパーにまとめてあるわ。寝る前にでも読んでおきなさい。
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[Narration]
さっと、カウンターの上に束ねてあった、カードと小冊子を広げる。
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[Narration]
その冊子と一対になったカードに、それぞれ自分の名前が記入されているのを見て、新入生達はおずおずと手をのばす。
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[Chloe]
説明は以上。じゃ、解散。
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[Narration]
あまりにも一方的な口調でそう告げて、クローエは手にしていた文庫本を広げる。
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[Eliza]
あの、クローエ様、もう少し、親切に説明された方がいいと思うのですが……。
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[Narration]
どこまでやりとりを聞いていたのか、図書室に入ってきたイライザ・ランカスターが、所在なげな新入生に助け船を出す。
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[Chloe]
もう、説明なんて聞き飽きていると思ったのよ。
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[Eliza]
そうかも知れませんけど……。
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[Chloe]
あなたが来たってことは、部屋の用意ができたんでしょう? さっさと連れていって、休ませてあげなさい。
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[Eliza]
まぁ、確かに部屋の支度は終わってますが……。
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[Narration]
苦笑して、イライザは新入生達に向き直る。
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[Eliza]
皆様の身の回りのお世話は、私達、学園職員のメイドがさせていただきます。御用の際は、なんなりとお申し付けください。
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[Eliza]
では、お部屋の方へ……。
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[Chloe]
イライザ。
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[Narration]
新入生達をつれて、大図書室を出ようとしたイライザをクローエが呼び止める。
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[Eliza]
なんでしょう?
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[Narration]
新入生達に一礼して、そばを離れ、カウンターに歩み寄るイライザに、クローエは低い声でたずねる。
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[Chloe]
あの、黒髪の子?
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[Eliza]
……はい。
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[Narration]
クローエの短い問いの意味を素早く察して、イライザも声をひそめて答える。
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[Chloe]
そう……。
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[Narration]
本から視線を動かさずに、クローエはうなずく。
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[Chloe]
……実際、会ってみるまでは、とも思っていたけど……。すぐにわかったわね。
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[Eliza]
そうですね、よく似ていらっしゃいます。
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[Chloe]
顔立ちはね。さて……、あの人はどうするかしら。今日は、どこにいるの?
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[Eliza]
さぁ……? 学園内を自由に回っていられるみたいです。
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[Chloe]
気楽だこと。腹立たしいわ、わたし達に雑用を押しつけて、自分は散歩しているだなんて。
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[Chloe]
ねぇ、あの人は、このことは知ってるの?
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[Eliza]
新入生のリストはお渡ししてありますが……、目を通されているかは、どうか……。
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[Chloe]
……閉じこめておきたいわね。一日二日、お預けさせておいても、全然、バチは当たらないと思うわ。むしろ、神のご意志ね。
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[Eliza]
そういうわけにも……。
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[Chloe]
わかってるわよ。
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[Narration]
ため息を語尾に重ねてから、クローエは顔を上げて、目だけで、図書室の入り口でおそるおそる中をうかがっている少女達を指し示す。
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[Chloe]
引き留めてごめんなさい。さ、もういいわ。あの子達を部屋に案内してあげて。
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[Eliza]
はい。では、これで失礼します。
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[Narration]
イライザは一礼すると、図書室を後にする。
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[Narration]
そして、今日一日ですっかり顔にはりついた不安げな表情を向ける少女達に笑顔を向けると、彼女達の向こう3年間の家へと案内するために、一団の先頭に立って歩き始めた。
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Hana ni Arashi
Kakegurui Yorozu
Tsubakuma!
Someday, We'll Get There
Honto no Kokoro
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