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[Narration]
この夜から、ポーラースターは低気圧の中に進路を定めたようだった。
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[Narration]
普段、夜空を埋め尽くしている満天の星空は雨雲に覆い隠され、窓ガラスをわりと大きな雨粒が叩いている。
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[Narration]
波もきっと高いのだろう。この船の巨体なら、小揺るぎもしないのだが。
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[Tenkyouin]
季節感を出して、梅雨ってわけでもないだろうに……。
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[Narration]
この船の舵を握る人物は妙に律儀で、夏は赤道直下を、冬は極地方を航行することを頑としてやめない。
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[Tenkyouin]
梅雨なんてものがある地域がどれだけ世界にあるんだか……。
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[Narration]
気象学は専門じゃない、5月のこの時期、日本列島に梅雨前線はできるのだろうか。そんなことを考えながら、理事長のもう一つの側面を思いやる。
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[Narration]
妙に律儀、でなければ、気まぐれ。
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[Tenkyouin]
まぁ、どっちでもいいさ……。
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[Narration]
砕けた水の飛沫が一面につたうガラスを一度見やってから、この部屋の主は、雑多に物が散らばり、そして時ならぬ来客達に埋め尽くされた室内に視線を戻した。
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[Tenkyouin]
しかし……。
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[Narration]
口につけたカップから流れ込んでくるコーヒーは、つぶやいた言葉にあわせて、微妙に苦い。
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[Tenkyouin]
こんな夜中に大勢で押し寄せてきて、何事だ、君達は。
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[Narration]
性質としては文句と言うより独り言に近いものだったが、その場にいた全員の頭があがり、発言者へと視線を向けた。
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[Nicolle]
おいおい、カナエ。まだ9時もまわっちゃいないぜ。お子様でなし、おねむになる時間じゃないだろ。
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[Alma]
すみません……。ニコルが、どうせ勉強しなきゃならないなら、天京院様の部屋がいいって言うものですから……。つい、お邪魔してしまって。
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[Soyeon]
でも、わからないとこがあったら、すぐ聞けるから、便利ですよね。
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[Tenkyouin]
便利! このあたしの存在を便利と言うか……。
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[Narration]
来客達の悪びれない態度に、思わず絶句する。
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[Tenkyouin]
そんなことをいうやつなんて、船内に一人だけだと思ったんだが……。
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[Narration]
声に出さないように、コーヒーとともに、その言葉を飲み込み、壁際に置いてあった机付きの椅子に沈み込む。
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[Narration]
所用で、夕方からずっと部屋を空けていた。
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[Narration]
早めに夕食をすませて7時前に戻ってみれば、すでにソヨンがヤーンを膝に抱いて、参考書やらノートやら、テーブルの上に店を広げていた。
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[Narration]
鍵はイライザに開けてもらったらしい。腹は立たないが、セキュリティもなにもあったもんじゃない。
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[Narration]
8時過ぎに、アルマとニコルが訪れ、天京院はカウチをも占領され、こうして壁際に追いやられこととなった。
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[Narration]
折しも今、学園は期末考査の真っ最中だった。
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[Narration]
この時期ばかりは、普段はのんびりとしたこの船の学生達も、勉強に追われることになる。
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[Narration]
仲のよい友人同士が集まって、おざなりな消灯時間までのお茶とおしゃべりの時間も、こうして勉強会に様変わりしたりもする。
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[Tenkyouin]
それがなんであたしのところなんだ……。
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[Nicolle]
なんか言ったー?
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[Tenkyouin]
いや。
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[Narration]
こう人が多くては愚痴も言えやしない。
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[Alma]
ニコル、ちゃんと集中してくださいな。カルマル同盟の変遷と意義の変化は……。
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[Nicolle]
……勘弁してくれ、ちんぷんかんぷんだ。
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[Tenkyouin]
何をしてるんだ?
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[Narration]
遠い記憶の彼方に葬り去った単語を耳にして、天京院はアルマに尋ねる。
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[Alma]
欧州中近世史です。イエルマ先生もこのたびはずいぶん、気合が入っているようで……。
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[Nicolle]
こっちにゃいい迷惑だよ。
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[Tenkyouin]
……ソヨンはなにをやってるんだ?
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[Soyeon]
あたしですか? あたしは、中央アジア文化論です。チベット語学ももれなくついてくるんで大変で……。
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[Tenkyouin]
そのラインナップでどうしてあたしの部屋に来るんだ……?
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[Narration]
両方とも、とったこともなければ、担当教官の名前すら知らない。
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[Narration]
わからないことがあれば、すぐに質問できるから便利? 持ち合わせのない知識でどう答えろと?
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[Alma]
ほら、ニコル! ここは重要ですよ。先生も三十年戦争は絶対に出すとおっしゃってましたし。
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[Nicolle]
絶対出るっつったのはそこだけじゃないだろ。範囲が広すぎるんだ。もう、降参、降参。ドイツ野郎の内輪のいざこざなんか、知ったこっちゃない。
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[Alma]
あら、三十年戦争といえば、北方の獅子、グスタフ・アドルフの輝かしい栄光とその最期ですわ。
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[Nicolle]
誰だ、それ。
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[Alma]
スウェーデンの英雄です!
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[Tenkyouin]
知らん知らん。
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[Narration]
ネイチャーに視線を落としながら、天京院はこっそりニコルに同意する。
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[Alma]
もう、ニコル? ちゃんとまじめに勉強しないと、この科目、落第してしまいますよ?
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[Alma]
他の科目だってあぶないっておっしゃってましたのに……。
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[Nicolle]
あー……。
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[Nicolle]
まぁ、なんとかなるさ。ならないかもしれないけど……。
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[Tenkyouin]
開いてるよ。
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[Eliza]
失礼いたします。
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[Eliza]
お夜食などいかがかと思いまして、うかがったのですが……。
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[Nicolle]
待ってました!
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[Alma]
サンドイッチなど、簡単に食べられるものをいただけますか、イライザさん。
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[Eliza]
かしこまりました。ギャレーの方にオーダーを出しておきますね。
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[Tenkyouin]
……おい。
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[Narration]
来訪者達の我が物顔加減に、天京院は言葉もない。
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[Eliza]
今夜はずいぶんとお客様が多いようで。
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[Tenkyouin]
呼んだ憶えはないけどね。知っていたんだろう?でなきゃ、夜食の注文を取りにくるはずがない。
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[Eliza]
ええ、実は。ニコル様とアルマ様に夕方、声をかけられまして。こちらに遊びにいらしていると。
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[Alma]
遊びにじゃありません、勉強です。
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[Nicolle]
はいはい、カリカリしなさんな。
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[Nicolle]
どうせこんなガッコ、テストの点やレポートの出来が悪かったところで、学費さえきちんと納めてれば進級させてくれるだろ?
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[Soyeon]
ニコル!
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[Alma]
ニコル!
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[Nicolle]
な、なんだよ?
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[Narration]
二人の剣幕に驚いたニコルに、天京院が黙ったまま、首をわずかに振って、隣に控えていたイライザを指し示す。
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[Nicolle]
あ……、悪い……。
>

[Eliza]
いいえ、お気づかいなく。
>

[Narration]
苦笑を浮かべて、イライザはほんの少しだけ肩をすくめた。
>

[Eliza]
それに、ニコル様。少々、思い違いをされているようです。
>

[Nicolle]
え?
>

[Eliza]
学費の納入と進級は無関係なんですよ。
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[Nicolle]
へ?
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[Eliza]
きちんと学費を納めている方でも、去年のちょうど今頃、進級のために必死になっていた方がいらっしゃいます。
>

[Soyeon]
あ……。
>

[Alma]
ま……。
>

[Tenkyouin]
ああ、いたな、確かに。
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[Nicolle]
まさか……。
>

[Eliza]
ええ、杏里様なんですけどね。
>

[Nicolle]
やっぱり……。
>

[Eliza]
ええ、それはもう、たいへんな苦労をされていましたわ。
>

[Tenkyouin]
おもに、ヘレナがね。
>

[Eliza]
ええ、まぁ。
>

[Alma]
目に浮かぶようですわ……。
>

[Soyeon]
ヘレナ先輩もさぞかしご苦労を……。
>

[Eliza]
それはもう。つきっきりで杏里様の勉強を見ていられましたから。
>

[Alma]
それは……。
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[Soyeon]
うらやましいかも……。
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[Eliza]
そうでしょうか? 1時間に一度は、もう留年でもいいと叫ぶのを叱りつけ、3時間に一度は脱走を試みるのを阻止し、6時間に一度は襲いかかってくるのを……。
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[Nicolle]
あーもういい、みなまで言わんでくれ……。
>

[Narration]
しばし、杏里の健闘を称えるというより、ヘレナの苦闘に同情する空気が部屋に漂う。
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[Alma]
ニコル、わかりました?
>

[Alma]
いい加減な気持ちでいると……。
>

[Nicolle]
わーかった、わかった!やるよ、やりますってば!
>

[Nicolle]
大丈夫だって。ま、なんとかなるよ。
>

[Eliza]
杏里様も……。
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[Eliza]
直前まではそうとう楽観的にかまえていらしたんですけど、指導室に呼ばれ、ジョアンナ教諭からひとしきりお説教を受けた後……。
>

[Eliza]
学園長にこう言われて、考えを改めたそうです。
>

[Eliza]
「あたしはかまわないんだけどね。学費さえ 納めてくれれば、何年だっていてくれたっ てさ」、と。
>

[Nicolle]
………………。
>

[Alma]
ニコル! このあいだ、ジョアンナ先生に呼ばれてましたよね! いったいなんと!?
>

[Nicolle]
わわ! 落ち着けっての!あん時ゃ、ちょっと声かけられただけだって! しっかりがんばりなさいって!
>

[Alma]
学園長は!?
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[Nicolle]
いなかったって!
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[Tenkyouin]
ふん……。
>

[Narration]
それなりに危機感を認識したアルマとニコルを横目に、天京院はなんとなく溜飲をさげた面もちでコーヒーをすする。
>

[Soyeon]
それで、イライザさん。
>

[Eliza]
はい? なんでしょう。
>

[Soyeon]
杏里さん、今年はどうなんですか?
>

[Eliza]
ああ……。
>

[Eliza]
……やっぱり、苦戦していらっしゃるようですね。
>

[Soyeon]
あぁ……。
>

[Eliza]
ほら、いろいろありましたから。謹慎されていた時期もありましたし。
>

[Tenkyouin]
あまり関係ないだろ、杏里の場合は。
>

[Nicolle]
だろね。
>

[Eliza]
それでも、ヘレナ様やクローエ様が、去年の二の轍は踏ませまいと、日頃から気を配っておられましたし。
>

[Tenkyouin]
ご苦労なことだ。
>

[Alma]
聞きました? ニコル。日頃からの努力が大切なんですよ?
>

[Nicolle]
あーもう、こいつをなんとかしてくれ。
>

[Nicolle]
いーじゃないのさ。もし杏里が落第したら、あたしらと同級生だ。そん時ゃ、笑って迎えてやろうぜ。
>

[Soyeon]
杏里さんが……。
>

[Alma]
同級生……。
>

[Anri]
君と同じ制服に身を包める幸せを感じるよ、ソヨン。ねぇ、これは無上の喜びというものだね!
>

[Anri]
これから一年間、同じ教室で同じ時を過ごせるんだね、アルマ。至福という言葉がこれほど似合うこともないだろう!
>

[Soyeon]
うわぁ……。
>

[Alma]
まぁ……。
>

[Nicolle]
おーい、どっか行ってるぞ、この二人は。
>

[Eliza]
まぁ、今年は大丈夫なのではないですか?
>

[Soyeon]
あ……。
>

[Alma]
そうですか……。
>

[Nicolle]
はいはい、無駄な夢見なさんなって。
>

[Alma]
ちょっと想像してしまっただけです!
>

[Soyeon]
もし、杏里さんがもういっかいセカンドクラスになったとしても、ニコルも一緒に留年しちゃってるかもね!
>

[Nicolle]
うぐ。
>

[Alma]
そうならないためにも!
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[Nicolle]
あーもー!
>

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