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[Narration]
深夜。
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[Narration]
静寂を裂いて、ポーラースターのヘリポートに、臨時便のジェットへりが緊急着陸してから、およそ5分後。
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[Narration]
学園H・B・ポーラースターの格式にはあまりふさわしくない足音を蹴立てて。
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[Narration]
その部屋の主は帰還した。
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[Helena]
ただいま! あんり!
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[Anri]
あ……。
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[Helena]
きゃあ!? あ、杏里? びっくりした、来ていたのね。
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[Anri]
あの、ヘレナ……。
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[Helena]
あ、ごめんなさい、杏里。すぐにすむから、ちょっとだけ待ってて。
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[Narration]
杏里にそう言って、ヘレナは机のそばに駆け寄り、その上に置かれた小さなゲーム機に手を伸ばす。
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[Narration]
全力疾走の息を切らせたまま、もどかしげに光の入った小さな液晶の画面を見つめる。
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[Helena]
あんり、ただいま。ごめんね、置いていって……。
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[Anri]
……ヘレナ。
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[Narration]
やがて液晶に浮かび上がる画像。そこには、いつも出迎えてくれた愛らしい姿はなかった。
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[Helena]
……え?
>

[Narration]
一度、明るくなった画面は、すぐに暗転しする。そして、1文字づつ、メッセージが表示されていく。
>

[Anri]
……ごめん。
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[Anri (hiragana)]
へれにゃへ。
>

[Anri (hiragana)]
ながいあいだ、あんりといっしょにいてくれてありがとうにゃあ。
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[Anri (hiragana)]
へれにゃとすごした
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173
>

じかん
>

41
>

ふん
>

25
>

びょうは、とてもたのしいひびでした。
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[Helena]
あ……。
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[Anri (hiragana)]
でも、あんりはたびにでにゃくてはいけません。
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[Anri (hiragana)]
あんりは、へれにゃのもとをはなれてたびだつのは、すごくかなしいにゃ。
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[Anri (hiragana)]
でも、しんぱいしにゃいでほしいにゃ。
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[Anri (hiragana)]
あんりはきっと、どこかでげんきにたびをしているから。
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[Anri (hiragana)]
へれにゃもおげんきで。かしこ。
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[Narration]
最期の句点が画面に表示されてから、きっかり10秒後、メッセージは今度は先頭の文字からゆっくりと消えていく。
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[Narration]
5分にも満たない、メッセージの中にあった、ヘレナと過ごした時間に比べて、あまりにも短い時間。
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[Narration]
その置き手紙のすべてが消えるまで、ヘレナはただ、液晶画面を見つめ続けていた。言葉もなく。
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[Narration]
灯の消えた小さなゲーム機を手にしたまま、呆然とするヘレナの肩に、二本の腕がそっとまわされる。
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[Narration]
背後から肩を抱いたその腕は、ゆっくりとゆっくりと、そしてやがてひっしと、ヘレナを抱きしめる。
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[Anri]
……ごめん……。
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[Helena]
あ、杏里……。
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[Narration]
肩越しに小さな声を聞いて、ヘレナはやっと、自分が杏里に抱きしめられていることに気づいた。そして、杏里の声の小さな震えにも。
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[Anri]
ごめんね……、ヘレナ……。
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[Helena]
なぜ……。
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[Narration]
抱きすくめられた中で、わずかに体をよじる。間近にある杏里の顔。謝罪の言葉を繰り返しながら、きつく閉じた目の端に、涙がにじんでいるのがわかる。
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[Helena]
なぜ、あなたが謝るの、杏里……。
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[Anri]
だって……。
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[Helena]
悪いのは私よ。持っていくのを忘れていたんだもの。
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[Anri]
でも、もし、ボクが預かっていた時に……、キミが帰ってくるまでの間に、なにか間違っていたかもしれない……。
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[Anri]
なにか、『あんり』をひきとめることができたかもしれない……。
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[Helena]
ううん、ちがうわ、杏里。私じゃなきゃダメだったのよ。
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[Helena]
これは、そういうゲームだったの。
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[Narration]
ヘレナがそう答えた時、抱きしめる杏里の力が、きゅっとわずかに強くなった。
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[Anri]
ちがう、ちがうよ、ヘレナ。
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[Anri]
ボクは、悲しいんだ。
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[Narration]
頬を一筋だけつたう涙と同じように、杏里は言葉をしぼり出す。
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[Anri]
さっきまで、ずっと、楽しい会話を続けていた、『あんり』がいなくなったのが悲しいんだ。
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[Anri]
ゲームなんかじゃないよ。こんなに悲しいなんて。キミをこうして抱きしめていなければ、泣き叫んでしまいそうなんだ。
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[Narration]
その言葉が嘘ではないことを証明するように、言葉を句切るごとに、杏里はヘレナを抱きしめる。肩を抱き、頭を抱き、顔を髪にうずめ、肩に額を当てる。
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[Anri]
ヘレナは……、悲しくないの?
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[Narration]
包み込むような囁きでたずねてくる。
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[Helena]
……悲しいわ。
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[Anri]
泣きたくないの?
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[Helena]
泣いてるわ。
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[Narration]
ヘレナがそう答えると、杏里の手のひらが、頬をなで、つたう涙をすくっていく。
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[Helena]
お別れが言えなかったもの。それが残念なの。
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[Helena]
でも、この日が来るのは知っていたわ。説明書にも書いてあったから。私と、あの子のあいだにはずっとあった約束なのね。
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[Helena]
でも……。
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[Narration]
住む者のいなくなったポケットエアポートをそっと握りしめる。
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[Helena]
私は、『あんり』と交わしたいくつもの言葉を憶えてるわ。一日、一時間。それでも毎日、『あんり』とした会話の中で、聞かれたこと、教えた言葉を憶えてるわ。
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[Helena]
それが、私の中には残っているの。
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[Helena]
あの子が旅立って、離ればなれになって、こうしてもう二度と会えなくなっても、いつまでも、私は『あんり』を憶えている。
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[Helena]
だから……。
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[Helena]
もう一度、会いたい。また、会いたい。
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[Helena]
会った時に、おかえりって言ってあげたい。だから、『あんり』のことを憶えているわ。ずっとよ。
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[Helena]
もう一度、また、会いたい……。
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[Helena]
望めぬことだとわかっていても、そう、願うわ。
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[Chloe]
悪かったわね、本当に。
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[Eliza]
申し訳ありません、お預かりしておりましたのに……。
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[Helena]
あなた達のせいじゃないわ。仕方のないことだったし……。そんなに気にしないで。
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[Chloe]
わかってはいるんだけど、ね。
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[Eliza]
あまり、お気を落とされないように。
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[Helena]
もう大丈夫よ。一晩、さめざめと泣いたら、わりと吹っ切れたわ。……私は。
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[Chloe]
あなたは……、ね。じゃ、あれは?
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[Narration]
そうクローエが指し示す方向に、3人は視線を向ける。
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[Helena]
はぁ……。
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[Narration]
そして、ヘレナは大きくため息をついてから、立ち上がる。
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[Helena]
杏里! いつまでめそめそしているの!しゃっきりしなさい、だらしのない!
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[Anri]
だって〜、『あんり』が、『あんり』が〜。うう、いなくなっちゃうなんて……。
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[Helena]
夕べ、さんざん悲しんだでしょう!?明け方までつきあってあげたじゃない!
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[Helena]
まったく、いつまで泣いているつもりなの!
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[Anri]
ひどいや、ヘレナ! なんて血も涙もないことを! あんなにかわいい『あんり』がいなくなったことに、ボクの胸は張り裂け、いまだに悲しみを流しているというのに!
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[Helena]
大袈裟すぎるのよ!だいたい、『あんり』は私の……。
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[Narration]
その時、不意に。
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[Narration]
カフェテリアが流しているジャズナンバーには不似合いなこもった電子音が鳴り響く。
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[Helena]
え……!?
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[Narration]
慌てて、ヘレナは制服のポケットをかき回す。
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[Helena]
うそ……! どうして……?
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[Narration]
取り出されたポケットエアポートは、LEDを点滅させ、ヘレナを呼んでいた。
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[Tenkyouin]
やぁ、ここにいたのか。
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[Anri]
やぁ、かなえさん。こんな日の当たるところまで出てくるなんて珍しいね。どうしたんだい?
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[Tenkyouin]
余計なお世話だ。杏里こそどうしたんだ?そんなに目を赤くして。
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[Tenkyouin]
まぁいい。ポーラースターのファイヤーウォールに面白いものがひっかかっていたんでね。
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[Chloe]
面白いもの?
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[Tenkyouin]
ああ、ポケットエアポートのゲームデータさ。一時期、はやったヤツがあったろう?
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[Tenkyouin]
あれはね、学習したデータをどうやら開発元に送り返していたんだ。おそらく、データベースへのフィードバックのためだろうね。
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[Tenkyouin]
実際に旅立っていたというわけさ。一時期は、一日にいくつもデータがひっかかっていたものでね。まさに大漁。
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[Tenkyouin]
ところが夕べ、久しぶりにデータが一個ひっかかっている。興味半分に中をのぞいてみたら、知っている固有名詞がずらずら出てくるものでね。
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[Tenkyouin]
面白そうだから、試しに、転送元に送り返してみたんだ。その首尾を確認しようと思ってね。
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[Tenkyouin]
……ヘレナ、鳴っているよ。
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[Chloe]
うるさいから、その音、止めてちょうだい。
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[Helena]
あ、え、ええ。
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[Narration]
半信半疑におそるおそると、ヘレナはポケットエアポートのボタンを押す。
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[Narration]
光が入り、明るくなる液晶画面。その中に浮かび上がってくる──。
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[Anri (hiragana)]
へれにゃ!
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[Helena]
あんり……!!
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[Tenkyouin]
よし、成功だ。
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[Anri]
ワォ! すごいよ! さすがはかなえさんだ!
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[Eliza]
あの、天京院様? それができるならどうしていままで……。学園内の悲劇もずいぶん防げたでしょうし……。
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[Chloe]
言っても無駄よ、イライザ。
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[Narration]
騒ぎ出す周りの面々のよそに、ヘレナは、小さな画面の中で満面の笑みを浮かべている『あんり』との再会に、今だけは心を預けていた。
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[Anri (hiragana)]
へれにゃ、あんりのこと、すき?
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[Helena]
ええ、もちろんよ!
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List of all oneshots
List of all series

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Girl Who Can't Say No (Daga Kotowaru)
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Hana ni Arashi
Kakegurui Yorozu
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