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[Narration]
その鼻歌は、電算室の一番奥の端末から聞こえてきた。
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[Narration]
端末を使用しているのはレイチェル・フォックス。どうやら何かのデータを閲覧しているようだ。
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[Rachel]
まさか画像データまであるとはねぇ、さすがは天下のポーラースター。
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[Narration]
レイチェルが開いているのは、ポーラースター学生の身体データ、身長体重座高胸囲などなど、女の子の秘密が画像と一緒に記録されているものだ。
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[Narration]
杏里はその様子を少し離れたところから眺めていたが、レイチェルはまったく気が付いた様子がない。
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[Narration]
少女のセミヌード(何故か何人かはポーズを取っていた)が表示される度に手を叩いてきゃっきゃと喜ぶ。
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[Narration]
画面に出ているのがサードクラスの学生であることを確認して、杏里はうさんくさそうにレイチェルを見た。
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[Anri]
(何が面白いのか……へんな人だ)
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[Anri]
──はぁ、レイチェル先生もその娘に目をつけたんですか。
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[Narration]
レイチェルの肩越しにディスプレイを覗き込んだ杏里は、そこに表示された学生の個人データを見て言った。
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[Anri]
そうそう、ここのあごのラインがちょっとニキに似ていて。
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[Anri]
一年後が楽しみな娘ですよね。
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[Rachel]
いや、その見方は少し甘いわね。彼女の美しさは今がピークでしょう、まさに旬って感じ……?
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[Rachel]
──って、杏里・アンリエットさん!!いいいいいつからここにっ!!
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[Anri]
さすがは天下のポーラースター、のあたりからですが、それが何か?
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[Rachel]
それが何か、じゃないですよ杏里さん!
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[Rachel]
駄目じゃないですか、人の端末を勝手にのぞいちゃ。
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[Anri]
それは失礼しました、レイチェル先生。でも、先生にそういう趣味があるとは思いませんでしたよ。
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[Narration]
特に非難するでも感心するでもなくそう言った杏里だったが、レイチェルはきっとなった。
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[Rachel]
そういう趣味?どうやら杏里さんは何か誤解しているみたいね……。
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[Anri]
そうなんですか?まあ、どうでもいいんですけれど。
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[Rachel]
なんか、どーでもいいと言われるのは逆に心外だわ。
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[Rachel]
あのね、杏里さん。先生はクラスの子の事を職務上知っておく必要があるの。
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[Rachel]
成績とか悩みとか、学生同士の相性とか、もちろん、健康面もそう。
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[Rachel]
みなさん、私の大事な子ですからね。
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[Anri]
そうですか……でも、教え子にもいまが旬とかあるんですねー。
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[Rachel]
……いや、まあ、先生、かわいい女の子は好きだし。それは認めるけど。
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[Rachel]
私からすれば、杏里さん。あなただって、ちょっと中性的なところがかわいいと思うわ。
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[Anri]
えー、先生いくつですか?
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[Narration]
にっこりと笑いかけたレイチェルの笑顔はそのまま凍りついた。
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[Rachel]
ま……まだ女ざかりのつもり……。
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[Anri]
年齢ですよ、ボクより下?
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[Rachel]
……う、上……。
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[Anri]
ほらダメだ。
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[Rachel]
ダメってなにが!?
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[Anri]
もうダメということですよ。
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[Rachel]
ほ……ほほほ、あら、こんな所にPS直通電話が。
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[Anri]
あっ、先生、ボクを売る気ですか?
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[Rachel]
なに言ってるの。……でも、杏里さんがあまり好き勝手に出歩いているようだと、先生も考えちゃうわよ?
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[Anri]
わかった、わかりましたよ……。
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[Narration]
いまは立場的に弱い。杏里はすごすごと退散した。
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[Rachel]
まさかそんな。私が可愛い杏里さんを売るなんて!
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[Rachel]
おほほ、でもポチッとな。
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[Narration]
その瞬間、風のように杏里は教室を飛び出していった。
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[Narration]
とりあえず、今回の事件のおかげで逃げ足だけは鍛えられているらしい。
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[Rachel]
──ちちぃっ!
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List of all oneshots
List of all series

(Recent Oneshots)

Isn't It Fine To XX Freely
That Red on Me
First Love Mint Blue
Summer Fuse
Girl Who Can't Say No (Daga Kotowaru)
Cubic Starship
Anaerobic Love
Missing Rink Side:Shuri
Missing Rink Side:Rina
Heart Pendant

(Recent Series)

The Rain and the Other Side of You
Hana ni Arashi
Kakegurui Yorozu
Tsubakuma!
Someday, We'll Get There
Honto no Kokoro
Hayate X Blade
Motto Hanjuku Joshi
Yuunagi Marbled
Strange Babies