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[Narration]
杏里は土曜日を待たずに天京院の所へ訪れた。
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[Narration]
イライザから聞いた脅迫事件について早めに相談したいという気がしたのだ。
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[Narration]
杏里の訪問を受けた天京院は、苦笑しつつコーヒーの用意をした。
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[Tenkyouin]
だからね、杏里……あたしを訪ねてくるぐらいなら、もっと行くところがあるだろう?
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[Tenkyouin]
ただコーヒーを飲みに来ている場合じゃないと思うのだけどね?
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[Anri]
いやだなあ、かなえさん。別にタダだから来ているわけじゃないよ。
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[Anri]
趣味にうるさい、かなえさんのコーヒーが魅力的なのさ。
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[Tenkyouin]
……褒めてるんだか。
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[Tenkyouin]
それで、どうした。捜査に行き詰まって暇つぶしかね?
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[Anri]
いや、ちょっと早めに相談したいことがあってね……。
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[Tenkyouin]
相談……?
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[Anri]
うん。今度の事件、ちょっと思っていたのと違う方向に転がりそうだ。
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[Narration]
杏里がイライザから聞いた脅迫の話をすると、天京院は何事かを思案するように、じっと俯いたままになった。
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[Anri]
イライザから、あまり話を広めないように言われたけど、とにかくかなえさんには話さないと仕方ないし……。
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[Anri]
何か、捜査の仕方を変えた方がいいとか、そんな忠告があるなら、早めに聞きたかったんだ。
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[Tenkyouin]
………………。
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[Anri]
……かなえさん?
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[Tenkyouin]
──んっ、ああ……。
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[Narration]
明らかに動揺した様子で、天京院は我に返った。
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[Anri]
かなえさん……何か、心当たりでもあるの?
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[Tenkyouin]
心当たり……いや、そんなものはないけど……どうして?
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[Anri]
言葉で説明するのは難しいんだけど……。
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[Anri]
いま、かなえさんが、事件とは別のことを考えていたような気がしたんだよね。
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[Tenkyouin]
……別のこと……。
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[Anri]
直感というか……ボクって、デート中に彼女がボク以外のこととか考えてると、すぐにわかるんだよ。
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[Anri]
そんな時は、ちょっと休んだり、何か食べたり、気分を変えるようにしてるんだけど。
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[Tenkyouin]
勘だけで人間関係を構築してるのかね、君は……。
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[Tenkyouin]
いや、まったく事件と関係ないことを考えていたわけじゃないんだ。
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[Tenkyouin]
もし、その話が本当なら、この事件は学園内でもみ消せる範疇を越えるだろうと思ってね。
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[Tenkyouin]
ヘタすれば、学園の存続そのものに影響しかねない。これまでは、被害者も事件のことをおおやけにしたくないと思っていたろうけど……。
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[Anri]
脅迫となれば、ね……。
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[Tenkyouin]
この学園が支持してくれているお偉いさんが、今度は敵に回るかも知れない。
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[Tenkyouin]
ただでさえ、危ういバランスの上にある超国家的存在の学園だ。崩れ始めたら、意外ともろいぞ。
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[Anri]
……ボクがむしろ心配なのは……。
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[Anri]
そういう事態になった時、あの学園長が何を始めるかってことなんだけど?
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[Tenkyouin]
…………。確かに、それは怖いな。
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[Anri]
全面戦争だけは避けないと……はっ!?
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[Anri]
ひょっとして、コトはすでに、世界平和に関わる大事件に発展しているのでは……。
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[Tenkyouin]
いや、まあ、そこまで思い詰めなくてもいいんじゃないか……。
>

[Anri]
断言できる、かなえさん?
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[Tenkyouin]
……できないけど。
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[Tenkyouin]
あー、なんか話がそれたな。捜査方針についてだろ?
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[Tenkyouin]
いまさら変更の必要はないだろ。事件がどんなに大きくなっても、こっちはPSに出来ないやり方を続けるしかないんだから。
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[Anri]
そうか……。
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[Tenkyouin]
まあ、そういうわけだから。頑張りたまえよ、杏里。
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[Narration]
研究の続きがあるから、と部屋を追い出された杏里は、何か釈然としないものを感じていた。
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[Anri]
……やっぱりかなえさん、あの時、何か別のことに気を取られていたような気がするんだけどな。
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[Narration]
しかし時間がないことも確かだ。杏里は、早々に調査に戻ることにした。
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Anaerobic Love
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Missing Rink Side:Rina
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Hana ni Arashi
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