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[Eliza]
まあ、アルマ様。ここにいらしたのですか?
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[Narration]
いつの間にか背後へ近寄っていたメイドのイライザが、唐突に声をかけた。
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[Narration]
杏里は絶妙のタイミングで邪魔され動きが止まり、アルマはそんな杏里に気づかずイライザを振り返った。
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[Alma]
イライザさん。何か、ありましたか?
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[Eliza]
お部屋のお掃除を頼まれていたベスが、お洋服のことでご確認したいことがあると捜しておりましたよ。
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[Alma]
あら──そういえば、クリーニングに出す服を別にしておくのを忘れていましたわ。
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[Narration]
アルマは杏里とイライザに、丁寧な礼をした。
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[Alma]
ありがとうイライザさん、すぐ参ります。……杏里様、さっきはありがとうございました。
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[Alma]
聞いていただいて、少し気が楽になったみたいです。それでは、失礼します。
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[Narration]
笑顔を残してアルマは立ち去った。
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[Narration]
かける声もなく見送った杏里は、その後ろ姿が見えなくなってから、大きく派手なため息をついた。
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[Anri]
はあ───っ……。イライザ、ボクは何か神さまを怒らせるような真似でもしたのかな?
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[Narration]
恨めしそうにイライザを見る。
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[Narration]
が、イライザは澄ました顔で答えた。
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[Eliza]
あら、神さまはいつだって寛大ですわ。杏里様が新しい女の子に声をかけたぐらいで、いちいち怒ったりはいたしませんよ。
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[Anri]
イライザ、わざとじゃないだろうね……?
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[Narration]
情けなさそうに言ってから、ふと真顔になる。
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[Anri]
ひょっとして、アルマとの話を聞いてた?
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[Eliza]
杏里様。
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[Narration]
あくまで業務用の笑顔を崩さずに、イライザは静かな声で言った。
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[Eliza]
私は、杏里様のお困りになるような真似は一切いたしません。……信じていただけるなら、私はここで何も聞きませんでした。
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[Narration]
愛情や友情というより、むしろ忠誠とでも呼ぶようなその台詞を聞いて、杏里は思わず苦笑した。
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[Anri]
うん、ありがとう。
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[Anri]
でも……さっきのはやっぱり、わざとでしょ?
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[Eliza]
──さあ?それでは失礼して、仕事に戻らせていただきます。
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[Narration]
イライザはきびきびした動作で立ち去った。
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[Narration]
杏里も肩を落としながら、購買部通りへ向かおうと歩き始める。
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[Narration]
その唇から、ため息と共に言葉が洩れた。
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[Anri]
やっぱり、わざとだな……。
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[Narration]
──その夜。
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[Girl]
キャアアアァァァッ!!!
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[Narration]
何事もなかった1週間の平穏をあざ笑うかのように、新たな犠牲者が出た。
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[Narration]
ファーストクラスのファン・ソヨン。
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[Narration]
事件そのものには例のごとく箝口令がしかれたが、船内に情報が広まるのはあっという間だった。
>

[Narration]
外界より隔離された巨大な学園船は、ざわめきと共に新たな朝を迎えようとしていた──。
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List of all oneshots
List of all series

(Recent Oneshots)

Isn't It Fine To XX Freely
That Red on Me
First Love Mint Blue
Summer Fuse
Girl Who Can't Say No (Daga Kotowaru)
Cubic Starship
Anaerobic Love
Missing Rink Side:Shuri
Missing Rink Side:Rina
Heart Pendant

(Recent Series)

The Rain and the Other Side of You
Hana ni Arashi
Kakegurui Yorozu
Tsubakuma!
Someday, We'll Get There
Honto no Kokoro
Hayate X Blade
Motto Hanjuku Joshi
Yuunagi Marbled
Strange Babies