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Place translations on the >s

[Anri]
…………
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[Eliza]
杏里様。
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[Anri]
わぁっ!
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[Anri]
ど、どこから?なんの心の準備もないところへ……
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[Eliza]
なにか心にやましいことでも?
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[Anri]
みんなの授業中は、この廊下もシンとして寂しいな、とは思ったけれど。突然背中から声をかけられたら、誰だってびっくりするさ。
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[Eliza]
そうですね。
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[Anri]
……前々から気になっていたのだけれど、きみたちメイドは、ときどき神出鬼没すぎやしないかい?
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[Eliza]
メイドは、必要とされる時におそばにいらられなければ、一人前とは申せません。
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[Eliza]
そのための、ニンジャア修行です。私たちにとって壁に隠れたり天井を這ったりするのは、造作もないことですわ。
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[Anri]
そうなの? すっごいんだね!じゃ、手裏剣とかも!?
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[Anri]
くらえニンジャスター!シュシュシュッ!
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[Eliza]
冗談です。
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[Eliza]
ブロードウェイのおかげですわ。
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[Anri]
ブロードウェイ……今度はミュージカルの修行?
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[Eliza]
ブロードウェイと申しますのは、私たち職員がそう呼ぶ隠し通路のことです。
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[Anri]
へええ、隠し通路……やっぱりニンジャ屋敷じゃないか。
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[Narration]
イライザは大廊下に通じる階段のすぐ脇へと杏里を連れていった。
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[Anri]
おや、こんなところに扉が。クルー専用か……へえ、気づかなかった!
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[Eliza]
こういった目立たない場所に入り口があるんです。
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[Narration]
イライザが、例によってカードキーで扉をあけると、強めの照明に照らされた白壁の通路が現れた。
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[Narration]
扉をあけたすぐ先で、通路はT字となり、左右にどこまでも伸びている。壁には通路外の区画をあらわす記号や矢印が、赤い字で大きく書かれていた。
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[Anri]
思ったより、ずっと狭いんだね。左右の壁に両手がつくや。……天井も低いし。
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[Eliza]
はい、最小限のスペースで、配膳車がすれ違うこともできません。ですから、扉前のスペースを使ってやり過ごします。
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[Anri]
ふうん、それで各コーナーに鏡がついているのか。とすると、ここに隠れるたりするのは、まず無理だな……
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[Eliza]
普通の豪華客船では、こういった場所をロボット車が行き交いしているのですが……
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[Anri]
ロボットじゃ格調に劣る、ってことなんだろうね。とことん贅沢を極めるつもりらしいから。
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[Narration]
イライザは無言で頷いた。
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[Anri]
他にもブロードウェイはあるの?
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[Eliza]
はい。船内各所に。それぞれの通称で呼ばれています。
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[Eliza]
ですけれど、ここは24時間、人の目がありますし、犯人が利用するにはかなり不向きな場所ですね。
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[Eliza]
この場にふさわしくない顔を見かけたら、すぐわかります。
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[Narration]
二人が会話を交わす間にも、別のメイドが洗濯物を満載した台車をガラガラと押して通り過ぎた。
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[Anri]
ご苦労さま。
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[Narration]
ウインクすると、小柄なメイドは赤面しながら会釈して、去っていった。
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[Anri]
あ……ボクとイライザが一緒のところを見られたのは、まずかったかな。
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[Eliza]
ご心配にはあたりません。ベスは私と懇意にしている仕事仲間ですし、告げ口したりするような野暮はいたしません。
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[Anri]
そっか。あの子、時々見かけるよね。小柄でさ、結構可愛いから───
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[Eliza]
言っておきますけれど、杏里様よりみっつ年上ですから。彼女。
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[Anri]
わお。
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[Anri]
イライザ、目が笑ってないよ。
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[Eliza]
もし、こういった場所をもっとよくお調べになりたいのでしたら、クローエ様にお尋ねになられると良いですわ。
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[Anri]
なるほど。彼女なら、この船のすみずみまで知り尽くしてる。
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[Anri]
ありがとう、イライザ。
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[Eliza]
お役に立てて光栄です。
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[Anri]
……ところで、さっきの子なんだけど。本当にボクより年上なの? 実は齢を誤魔化していたりしないかい?
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[Eliza]
杏里さま、お耳の調子がすぐれないようですね。
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[Eliza]
調子が悪いのは、こちらの耳ですか、それともこちらですか? イライザめが念入りにお掃除してさしあげますわ。
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[Anri]
痛い、痛いよ! ごめんよイライザ!
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