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[Narration]
――――電算室。
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[Narration]
液晶ディスプレイ付きのコンピューターの並ぶこの部屋は、本来ならコンピュータールームと称されるところだが、なぜかその古風な名前で呼ばれていた。
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[Narration]
授業で使用されることもあるが、そうでない時間は、学生に開放されている。
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[Narration]
その時間ならばお茶しようが、ケーキを食べようが自由。なので、巷のインターネットカフェのように使用する人間もいるし、
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[Narration]
また、ネットサーフィンそっちのけで、ゲームに熱中している者も……いる。
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[Anne Shirley]
こんにちは?何をしているの杏里?
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[Anri]
…………
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[Anne Shirley]
……杏里?
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[Anri]
…………
>

[Narration]
杏里は無表情のまま、単調なリズムでマウスをカチカチ鳴らしている。
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[Narration]
よく見ると、杏里の耳にはインナー式のヘッドホンが差し込まれている。
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[Anne Shirley]
杏里?
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[Narration]
アンシャーリーはスピーカーにつながっているプラグをひょいと引き抜いた。
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[Narration]
『……ああ、お願いですっ!』
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[Narration]
『いけませんわ、お父様ぁ! 絢は、絢は……ああっ!』
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[Narration]
電算室で暇をつぶしていた少女たちは突然の声に椅子から飛びあがった。
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[Narration]
嬌声は大音量で、外の廊下にまで響きわたった。
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[Anri]
…………
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[Anne Shirley]
…………
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[Narration]
ぼんやりとしていた杏里の目の焦点が結ばれ、ようやく二人の視線は交じり合った。
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[Anri]
……おお、アンシャーリー。
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[Anri]
ごめん。気づかなかったよ。
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[Anne Shirley]
面白い?
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[Anri]
まあまあかな。日本のゲームなんだ。ニコルに回してもらった。
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[Anne Shirley]
にしては、ずいぶん夢中だったわ。トリップする作用があるのかしら。
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[Narration]
杏里とアンシャーリーは、周囲の視線も気にせず、あーでもない、こーでもないとゲームの論評を始めた。
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[Narration]
その間もスピーカーは叫び続けている。日本語なので意味は不明だが、内容は言わずもがなだ。
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[Narration]
杏里とアンシャーリーは、たちまち電算室をほっぽり出された。
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[Anri]
たまの息抜きなのに!
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[Anri]
理解がないよ! ゲームにだって高度な文学性を持つものがあるんだ!
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[Anne Shirley]
さあ……でも“ビショージョゲーム”は、どうかしら。
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[Anne Shirley]
それより……そうそう、カナエが呼んでいたわ。
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[Anri]
かなえさんが?
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[Anri]
やあ、かなえさん! 呼んだ!?
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[Tenkyouin]
しぃーっ!
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[Tenkyouin]
寝てる子猫を起こすなっやっと鳴き止んだんだぞ……
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[Tenkyouin]
……まったく、なんてもの押しつけてくれたんだ。
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[Anri]
えっと……かなえさんの愛しい子猫ちゃん?
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[Tenkyouin]
語尾上げかい。事件が一段落したら、きみ、引き取ってくれるんだろうな。
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[Anri]
そうしてもいいけど、クローエや他の皆が止めるんだよ。
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[Tenkyouin]
……ああ、なんとなくわかる。本当にもう。
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[Anri]
ね、かなえさん、どうして髪の先に毛糸玉を結んでるの?
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[Tenkyouin]
い、いや……これは……
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[Anri]
うん。かわいいよ?
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[Tenkyouin]
そ、そんなことよりだな……
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[Narration]
ぶすくれた天京院の告げた言葉を聞き、杏里は驚きに目を見開いた。
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[Narration]
天京院は杏里が部屋に現れるなり言った。
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[Anri]
ハッキング? ボクにかい?
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[Tenkyouin]
うん。ぜひ、杏里にやってほしい。
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[Anri]
……かなえさん、わかっていると思うけど。ボクには、そんな神のような業は無理な相談だよ。
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[Tenkyouin]
きみに頼むのは、電算室に忍び込んで、このプログラムを走らせるまでだ。
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[Narration]
天京院は手の中にある、コースターほどの光磁気ディスクをひらめかせた。
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[Tenkyouin]
あとは、こいつが勝手にやってくれる。
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[Anri]
へえ〜
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[Narration]
天京院も自分の研究にばかり没入しているわけではない。部屋で可能なことでさえあれば、進んで思索をめぐらせ、挑戦していた。
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[Narration]
その一つが、学内ネットワークからの、データベースへの侵入だった。
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[Narration]
天京院のハッキングの知識と技術をもってすれば、学園の擁する管理コンピューターへの侵入も難しくない。
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[Narration]
実際、コンピューターに仕掛けられた防壁も、普段なら簡単に突破できるはずだった。
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[Tenkyouin]
罠が仕掛けられていたんだよ。迂闊だったな。
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[Narration]
天京院はガン、と自作のコンピューターを叩いた。
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[Anri]
壊れちゃったの?
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[Tenkyouin]
もっとひどい。こっちの機械をのっとって、犯行声明文が書かれたメールを学園中にバラまこうとしたんだ。
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[Anri]
ワーオ……
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[Tenkyouin]
しかも杏里、きみの名前とメールアドレスでだぞ? まったく、洒落がきつい。
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[Anri]
ボクは電子メールなんか、一度も使ったことないよ! ちんぷんかんぷんだ!
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[Tenkyouin]
そうだ。お笑いだろう?それでも、ここから送られたと知られたら、あたしの活動が制限されるのは間違いない。
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[Tenkyouin]
そう気づいた瞬間に、マシンを机から叩き落とした。
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[Anri]
それでヒビだらけなんだね……ごめんよ、かなえさん。
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[Tenkyouin]
杏里が謝ることはない。この復讐はきっとさせてもらうからね。
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[Tenkyouin]
で、その第一歩なわけだが……
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[Anri]
うん、そう云うことなら。
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[Anri]
電算室で、そのディスクに入ったプログラムを動かすだけなんだろ? それなら、なんとかボクにも出来るんじゃないかな?
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[Tenkyouin]
……一つ問題がある。
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[Tenkyouin]
電算室のマシンは、ネットワーク上でもここより管理コンピューターに近い位置にあって有利なんだが、あたしのマシンみたいに改良されているわけじゃない。
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[Tenkyouin]
そこで───
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[Narration]
天京院は、一抱えもある重たげな機械を、よいしょどすんと机の上に置いた。
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[Anri]
なにそれ?
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[Tenkyouin]
天京院式電脳ミキサー。これでコンピューターを攪乱する。
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[Tenkyouin]
ここんとこが、電算室の機械に取り付けられるようになってるから……。
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[Anri]
もしかして、すごい音がするの?
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[Tenkyouin]
ミキサーだからな。
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[Tenkyouin]
というわけで、無理にとは言わない。杏里が選んでいいんだ。
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[Anri]
うーん……ソヨンと相談してみないと。
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[Tenkyouin]
ソヨンはきっと「やる」と言ってくれると思うよ。
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[Anri]
うーん……
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[Tenkyouin]
あたしも相当な綱渡りだとは思う。もちろん違法だから、現行犯逮捕ということもありえるだろうし。
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[Tenkyouin]
しかし学園の最新のデータが入手できるんだ。見返りは余りある。
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[Tenkyouin]
実行するかどうかは、きみが選んでくれ。
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ハッキングか……
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いやだ。危なすぎる。
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[Anri]
やっぱり、ボクには無理だよ。
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[Tenkyouin]
そうか……残念だな。
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[Narration]
天京院は愛おしそうに、電脳ミキサー装置を撫でた。
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[Tenkyouin]
せっかくの装置だしな……それじゃあジュースでも作るか。
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[Anri]
すごいや!ジュースも作れるのかい?
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[Tenkyouin]
……ミキサーだからな。
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自分のためだもの。一か八かやってみる。
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[Anri]
よし、一か八かやってみる!
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[Anri]
自分の嫌疑を晴らすためだものね?
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[Tenkyouin]
そうこなくちゃ!期待してる。
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[Anri]
…………
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[Tenkyouin]
…………持ってかないの? 機械。
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[Anri]
えっ?
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[Narration]
天京院はウキウキぶりを隠せずに、重たげな機械を杏里へ押しつけた。
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[Tenkyouin]
さ。さっ。ホラっ。
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[Anri]
そんな昼間から忍び込めるはずないよ、かなえさん?
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[Tenkyouin]
そ、そうか……それはそうだな。
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[Tenkyouin]
とすると、忍び込むのは……暗くなって……
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[Anri]
うん。夜だね。
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[Anri]
さあて、ソヨンにも手伝ってもらわなくちゃ……
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[Anri]
……ところで、かなえさん。
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[Tenkyouin]
ん?
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[Anri]
その毛糸玉は、やっぱり子猫のおもちゃなんでしょ?
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[Tenkyouin]
………………
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