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気が付くと、視界の中で彼女を捜している自分がわかる。
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2年C組の剣峰桐さん。私が顧問を務めている数理部のただ一人の部員。
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教師として、特定の学生のことばかり気にしていてはいけない、とは思うのだけど。
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それでもどうしても、彼女のことが気になってしまう。
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今日だって、休み時間の移動中、廊下を過ぎていく学生たちの中に、つい捜してしまうのは剣峰さんの姿だ。
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だって。これまでなら。彼女が一年生の時から。私を見ればかわいいって連呼しながら、なにかとスキンシップを求めてきていた剣峰さんなのに。
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ここしばらくというもの、そういうことをしてこない。それどころか、私を見ると、逃げ出してしまうくらい。部室でも会うこと、できないし。
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……心配にならない方がおかしいわよね?
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なにかあったのかしら。お家のこととか、校内での友人関係のこととか。
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学校には来ているし、逃げたりしないで、顔を合わせて話をさせてくれれば、それが一番いいんだけれど、と、やっぱり剣峰さんの姿を捜している自分がある。
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grpo_bu2
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古場陽香
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おわっ!? っととぉ!
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園生月代
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あ……!
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けれど、剣峰さんのことばかりで、ちょっと他への注意が散漫になっていたみたい。廊下の曲がり角で、あやうく誰かとぶつかりそうになって。
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grpo_bu1
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古場陽香
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ワ、ワリぃ! どっか、ぶつけたりとかしてないよな、園生センセ。
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園生月代
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……こっちこそ、ごめんなさい、古場さん。大丈夫? どこかぶつかってない?
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古場陽香
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あ? ああ、ゼンゼンへーき!
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この子は一応、先生って呼んでくれる。ちょっと、呼び方が軽いかなって気もするけど。
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でも、どうして他のみんな、けっこうな数の子が、私のことちゃんと先生って呼んでくれないのかしら。
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まあ、悪気があってそうしてるのじゃないのはわかるから、あまり目くじら、たてたりしたくはないんだけど。
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この子はええと、古場さん、そう、古場陽香さん。二年生。音楽……、ロック系が好きな子だって聞いている。
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服装もその趣味を反映してなのか、この学校の中じゃちょっとばかり目立つ方、かな。
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けれども根は素直でいい子だし、授業だって、ちゃんとマジメに受けてくれる。時々、寝てたりするけど。
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いきなり奇声を上げて火を着けたり、頭をすごい勢いで振ってみせたりしない。うん、私、ロックのイメージ、ちょっと間違ってるわよね。
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でも……。
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園生月代
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古場さん、担任の先生が、最近、また遅刻が増えてるっておっしゃってたわ。
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どうにもこの子は、遅刻の常習犯だっていうのが、問題。
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古場陽香
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あー、まぁ、5連続は回避するようにがんばってるぜ!
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つまり、ギリギリになるまでは、全然気にしてないってことよね。眉のあたりに困りしわが寄りそうになるのをちょっとこらえる。
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園生月代
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5連続じゃなければいいってことじゃないのよ。1回だって遅刻はダメよ。そうね……。
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園生月代
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先生が、毎日、電話で起こしてあげようか?
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古場陽香
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えー? 園生センセがぁ?
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見るからに気乗りしない声と表情で。まぁ、それはそうかもしれないわね。朝から、教師の声で起こされるなんて。
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ただ、古場さんの懸念は他のところにあったみたい。
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古場陽香
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まーでも、園生センセにはメーワクかけたくねーなぁ。だってセンセにメンドーなことやらせっと、桐がすっげーイキオイで怒ってくるしさ。
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園生月代
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え?
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古場陽香
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ん?
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彼女が気にしていたのは、教師からいちいち連絡を受けることではなく、友達から叱られてしまうこと。友達。誰と、誰が?
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園生月代
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古場さん、あなた、剣峰さんと仲良かったの?
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古場陽香
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んー、まあね。桐とは、去年、一緒のクラスだったしさ。あいつ、おもしれーだろ、なんか気が合っちゃってさ。
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園生月代
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そうだったの? それじゃ、古場さん、聞いてない? 剣峰さんからなにか。
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古場陽香
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ナニかって、ナニが?
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園生月代
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その、最近、剣峰さん、ちょっと様子が変なの。なにかあったとか聞いてない? 彼女の身の回りのこととかで。
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学生のプライベートなことに踏みこむのは、あれこれと繊細なもので、たずねるにももっと、気を遣わなくちゃいけないんだけど、本当は。
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でも、この時、そういうことをちょっとすっ飛ばして、古場さんに聞いてしまったのは、やっぱりそれだけ剣峰さんのことが、気になっていたんだろう。
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幸い、古場さんには、私の焦りや迷う胸のうち、あまり気付いた様子はなくて、素直に答えてくれた。のはいいんだけど。
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古場陽香
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様子が変、かぁ。でも桐のヤツ、カワイイもの前ではたいてー変じゃん。園生センセの前で、桐の様子が変って、フツーのことじゃね?
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それは、そうなんだけど……。いや、そういう意味じゃなくて……。
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私の方は真剣に聞いているつもりなのに、そういうふうに返されると、脱力すればいいのか、ちょっとは怒ってみせた方がいいのか、わからなくなってくる。
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怒ったりはしたくないんだけど。
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園生月代
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ううん、そうじゃなくってね、そういう変じゃなくて、その、なんか先生、剣峰さんに避けられちゃってるみたいで……。
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古場陽香
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桐が? センセを? 確かにそりゃ変かも。ん~……、あ、そういや、この前、なんか変なこと、言ってたな。
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古場陽香
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えっと、「私、大変な事実に気付いてしまったの」とかなんとか。
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園生月代
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え?
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なにそれ、いきなり。なんで、大変な事実、なんて大げさな言葉が出てくるの?
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ご家族の関係のなにか? それとも危ない事件に巻きこまれたり……? この年ごろの女の子たちは、危なっかしいところもあるから……。
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体中の血が、急に勢いよく巡っていくような気がする。目の奥に重苦しい圧力がよどんでいく。
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あ。だめ、これ。ちょっとめまいまでしてきた、ような……。
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足元が沈みこんでいくような感覚に耐えているうちに。
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古場陽香
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つってもあまぁ、桐のことだからさ。なんかカワイイもの絡みじゃね? アイツが変になるってことだと……。あっ、センセ!?
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古場さんが、こっちをみて、ひどく驚いた声をあげる。そんなに私、ひどい顔を学生の前で見せてるのかな……、と。
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とろり、と。
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古場陽香
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園生センセ、鼻血、鼻血!!
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鼻の奥からつたう感触の、そのむず痒さに我に返る。
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園生月代
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あ……、え……、あら。
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ゆるい鼻水が止まらずに流れていく感覚は、私にしてみれば慣れたもので、服は汚さないように、バッグからティッシュを引っぱり出して。
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適当にちぎって鼻に詰めこむ。この際、体裁なんて気にしてられないし。
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古場陽香
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センセ……、大丈夫か?
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園生月代
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ええ、平気よ。ちょっと、時々こうなったりするの。でも大丈夫。本当にたいしたことないから。
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古場陽香
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お、おう……。
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心配そうにのぞきこんでくる古場さんに、鼻声だけど、つとめて何事もなかったように答えて、笑ってみせる。
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ここしばらく、いろいろと忙しかったからかな。
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でもだめだなあ、もともと丈夫な方ではないけど、ちょっとのぼせただけで、こんな姿、見せてしまうなんて。
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古場さんも、心なしかしゅんってなってしまってる。
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古場陽香
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悪かったよ園生センセ。オレ、遅刻とか減らすようにするからさ。
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古場陽香
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シンローってやつだろ、それ。鼻血はやべーよな。ライブでもよく、いきなり噴き出すヤツいるけどさ、あれ、マジ、ビビるんだよな。
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園生月代
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え、ええと、そう、そうなの。
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やっぱり。この子、服装や遅刻のことは難だけれど、気持ちが優しい、人のことを思ってあげられる子だな。
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それはうれしかったし、あらためて彼女のことを見直したものの。私にも先生って立場があるから、口では古場さんの言葉に乗ってみたりね。
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園生月代
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遅刻、なるべくしないようにね。
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これでこの子の欠点が少しでも改善されるなら、私の虚弱気味な体質も、ちょっとは役に立つってことかしら。
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古場陽香
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ああ! 3連続くらいに押さえてみせるぜ!とりあえず、来週限定で!
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……まあ、何事も一歩ずつということで、ここは目をつぶりましょう。
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園生月代
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ああそれと。ついでっていうのもちょっと変だけど、剣峰さんに伝言をお願いしたいの。
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園生月代
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なにか心配事があるのなら、先生とお話ししましょう、って。よろしくね。
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古場陽香
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オーケイ。園生センセが会って話したがってたってことだろ? 桐に会ったら、伝えとくぜ。
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古場さんには変な印象、与えちゃったかもしれないけど、友達からの伝言なら聞いてくれるかもしれない。
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しっかりお願いして、古場さんと別れてトイレに向かうことにする。鼻血はもう止まってるけれど、鏡を見て血とかは拭いておきたいし。
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それにしても剣峰さん……。
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『大変な事実』って、ほんとになんなのかしら。
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あの子のことだから、そんな危ないことじゃないだろう、とは思う。
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それでもどうしたって、胸にもやもやしたつかえは残ってしまったわけで。
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