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お腹はしっかり空いているはずなのに、お弁当はいつもと同じにおいしいはずなのに。なんだか、食べるのに集中できない。
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牧聖苗
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(雲見櫓の二階……、空き部室のいくつか……。ううんだめ。お昼も放課後も、人の出入りはいつもあるし)
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牧聖苗
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(それなら、奥校舎の裏あたり……。……も、だめか。だってこれから雨続きの季節なんだし。それにあっちだと相原先輩の知り合いに会いそうで)
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牧聖苗
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(うーん……)
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お昼休み。
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みんなはそれぞれに、友達とおしゃべりしながらだったり、雑誌を読みながらだったりと、お昼ご飯の時間。
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長い長い午前中の授業の後の、待ちかねていたお昼の時間。なのにわたしの気分はどうにも曇りがち。
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牧聖苗
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(こうしてみると、学校って、広くていろんな隙間があるようだけど)
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牧聖苗
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(誰の目にもつかないで、二人っきりになれるような場所って、なかなかないんだ)
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二人だけになれる場所。相原先輩と。
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校舎の中じゃ、なにかと人から声をかけられて、あれこれ忙しい先輩。
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そうなると、わたしも先輩も、頼まれ事に気を取られてしまって、二人で一緒に過ごす、って感じじゃなくなっちゃう。
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それに先輩は、わたしと帰り道も正反対で。だったらせめて学校にいる間だけでも、二人で、二人だけでゆっくりできるような、そんな場所がほしいって思ったんだけど。
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狛野比奈
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牧さん。
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これがいざ探し始めてみると、ぴったり条件に合うような場所がなかなか見つからない。見つかってくれない。
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それとも、こんなに人目を気にしすぎる方がおかしいのかな……。いっそのことオープンにしちゃって、人前だろうとなんだろうと相原先輩と……。
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……なんて、できたら、始めから苦労はないよね……。それに、先輩とは友達からって付き合いなんだし。
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狛野比奈
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牧さん?
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牧聖苗
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はい。
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狛野比奈
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どうかした?
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牧聖苗
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はい。
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狛野比奈
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………………。
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牧聖苗
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………………。
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かなり間の抜けたやりとりをした後で、隣の狛野さんから呼びかけられていたことに気が付く有り様で。
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牧聖苗
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あ。わたし!? ごめんなさい。ちょっと考えごとしてて。
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牧聖苗
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えっと、なんか用? なんか、話しかけてくれてた……?
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狛野比奈
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んーん。まだなにも言ってない。
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狛野比奈
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ただ、さっきから、牧さん、ぼうっとしてたから。
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狛野比奈
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お弁当、ぜんぜん食べてないし。具合、悪い?
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……狛野さんに言われた通り、お弁当も半分くらいで止まっている。これ、よっぽど変に思われてたんじゃないかな。
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上の空の顔でもぐもぐしてて、それも途中で止まっていて。
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牧聖苗
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う、ううん。そんなことないんだけどね。
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どういう顔をしていいかわからなかったから、ちょっと笑ってごまかした。
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狛野さんはじっと、わたしの真ん中を見通すような目でじっと見てきていて、ちょっと怒っているかもって感じ。
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でも怒ってたりするわけじゃないと思う。そういう人じゃないってわかるくらいには、お話するようにもなったし。
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今だって、わたしの様子を見かねて心配してくれたんだろうし。
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牧聖苗
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ほんとに、ちょっとぼーっとしてただけなの。あ、狛野さんのお弁当、なんていうのかな、いつもきれいだよね。栄養のバランスとかもしっかり取れてそうで。
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ちょっとわざとらしいかもって話のそらし方だったけど、それは本当。
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狛野さんのお弁当は、いつ見ても、色とりどりって言うのかな、見た目にもきれいだし、運動部の子らしく量だってたっぷり。でも、おいしそう。
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牧聖苗
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もしかして、自分で作ってたりするの?
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狛野比奈
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んーん、ちがう。いつも作ってもらってるの。
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牧聖苗
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お母さん?
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狛野比奈
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んー、ちがう。
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聞けば、狛野さんのそのお弁当は。なんでも、二年生に隣に住んでる幼馴染みの人がいて。その先輩がいつも作ってくれているんだって。
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……なにそれ。素敵。
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わたしも、狛野さんのその人みたいに、相原先輩にお弁当とか作ってあげられたら、どんなだろう。
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わたし自身は、いつもお母さんにまかせっきりだけど、それでも……。
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そんなお弁当を、二人でゆっくりできる場所で一緒に食べることができたら……。やっぱり、場所、秘密の場所!
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狛野比奈
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……また、考えごとしてる?
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牧聖苗
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あ。ううん。えっと、うん、ほんとは、ちょっとね。考えてるっていうか、困っているっていうか……。
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狛野比奈
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ん? 困ってる?
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牧聖苗
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……この学校の中で、人目につかない場所、人気のない場所って、どこかにないかなぁって。
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牧聖苗
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探しているのだけど。なかなか見つからなくって。
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……後から思ったら、ずいぶんと人聞きの悪いこと言ったような気がする。いきなりそんなこと、言われたら普通は驚くというか……、変に思うよね?
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けれどその時のわたしは、もう何日もずっとそればかり考えてて、なのにピンとくるようなアイデアや場所、見つけられていなかったから。
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藁にもすがる想いだったのかも。隣の席の狛野さんに話しちゃうなんて。相談しちゃうなんて。
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なんとなく、狛野さん、ちょっと言葉が少なくて取っつきにくいかなって思うけど、不思議と話がしやすいし。
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狛野比奈
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人気のない場所……。
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狛野さんは、わたしから少し視線を外して、ちょっと考え込んでるような感じ。そうしてると、ちょっと美少女に見えるなぁ。
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ただ、次に出てきた言葉が、直前のイメージからちょっと不釣り合いというか、突拍子もなくって。
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狛野比奈
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木の上、とか?
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牧聖苗
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え、木って……。
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狛野比奈
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この季節だと、ヤブ蚊、多いけど。でも20mも登れば、いなくなるし。
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牧聖苗
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20mて……。
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狛野比奈
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ほら、あそことか。あの、校舎のそばの榎の木とか。
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狛野比奈
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それか、雲見櫓の屋根の上とか。星館の反対側とかなら、死角になってるかも。んー、でも、これからは、すごい暑くなるかも。
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牧聖苗
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ご、ごめん、わたし、そういうとこまで登るのは、ちょっと無理。
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狛野比奈
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ん、そう? じゃ、奥校舎、生け垣の中は?
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狛野比奈
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けっこう、広くなってるとこ、あるよ? きっと、外からは、ぜんぜん見えない。
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牧聖苗
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生け垣の中ってそんな。もしかして、潜り込んだこととかあるの!?
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狛野比奈
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ん。ただやっぱり、ヤブ蚊が多い。あと、クモの巣が髪につくと、大変。
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狛野さんが次々に並べ上げていく「場所」は、あんまりにもあんまりで、初めは、からかわれてるのかなって思ったけどそうじゃないみたい。
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狛野さん、あまり表情が変わらなくてわかりづらいけど、冗談を言ってる感じもしないから。
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もしかしたら、狛野さんなりにマジメに答えてくれてるんだろうって。
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でも、木の上とか薮の中とか、ちょっと難易度高すぎ。わたしはなんとか行けるかもしれないけど、相原先輩は絶対無理そう。
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狛野さんって、豆柴とか甲斐犬とか、日本犬タイプのきりってしたイメージだけど、これじゃどっちかっていうと。……猫?
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牧聖苗
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(もしかして、狛野さんがいつもジャージなのは、そういうとこ、あちこち動きまわりやすいように? って、さすがにないよね、そこまでは)
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狛野比奈
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んー、あとは……。ごめん。すぐ、思いつかない。
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牧聖苗
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あ、いいよ、いいの! わたしも変なこと聞いちゃったし。あんまり気にしないで。
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狛野比奈
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他にも、よさそうなとこ、見つけたら教えるね。
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牧聖苗
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あ、ありがとう。でもほんと、そんなに気にしないでね。
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考えてみれば、お互い新入生なんだし。この学校の中のこと、そこまで詳しくなくっても当たり前。
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うん、まだまだわたしは城女、この学校のことを知らないもの。きっとどこか、いい場所だってあるはず。
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もっとよく探してみよう。
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でも、狛野さんに話を聞いてもらって、一緒に考えてもらって、少しだけ気が楽になれた……、かな?
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わたしの知らない場所もあるってこと、わかっただけでも収穫かも。うん、狛野さんとお話しできて、よかった。
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……そう思うことにしよっと。
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