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狛野比奈
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ふぅ……。
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お風呂から上がって、自分の部屋に戻って、まっすぐベッドに倒れ込んだ。
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頭、ぐわんぐわんする。そんなに長く、お風呂に入ってたかな、こんなにのぼせるなんて。
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体中が熱い。心臓、すごいバクバクいってるし。でも、なんだかふわふわした気分。
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……あれ? なんだか、前にもこんなこと、あったような。
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狛野比奈
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あ……。
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これは、あれだ。あの日と似てるんだ。結奈ねぇに好きって言った、告白した学園祭の日に。あの日の夜も、こんな感じだったっけ。
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狛野比奈
>
んー……。
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ちがうかな、あの時よりも、もっとドキドキしてる。顔だけじゃなくて、体中が熱い。
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それなのに、こんなにうれしい。幸せってこういう気持ちなのかな。
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狛野比奈
>
結奈ねぇ……。
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口にだして名前をつぶやくと、ほんとにそう思う。幸せって。
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今日、朝、ご飯を食べた後、アノちゃんが帰って、結奈ねぇと二人で後片付けをしていた時。
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ついに、結奈ねぇが返事をくれた。あたしがした告白の返事を。好きって言ったあたしへの答えを。
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狛野比奈
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へへ……。
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思い出したら、なんだか笑いがこみ上げてくる。だって。
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狛野比奈
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大好きって、言ってくれた……。
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あたしのこと、大好きって。結奈ねぇもあたしのこと、好きだって。
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うれしくて、思わず結奈ねぇに抱きついてしまった。でも、結奈ねぇはあたしを受け止めてくれた。
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受け止めて、そして抱き締めてくれた。
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あったかくて、やわらかくて、優しい結奈ねぇに、あたしは抱きついて。
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甘えるみたいに、頭をすりつけて。だって、ほんとにうれしかったから。
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待たせてごめんってあやまってくれたけど、そんなのぜんぜん、気にしてない。
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だって、あたしの方がいきなり、結奈ねぇに告白しちゃったんだから。ビックリさせちゃったから、驚かせちゃったから。
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その後ずっと、今日まで、結奈ねぇを悩ませちゃってたから。
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狛野比奈
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ごめんね、結奈ねぇ。
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ずっと、結奈ねぇがあたしのことで、考えて、悩んで、迷ってるの、わかってた。
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だって、ずっと結奈ねぇのこと、見てたから。今までと同じように。
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もし、今度なにかあったら、結奈ねぇの力になりたいって思ってたけど、その今度は、あたしが悩ませちゃった。
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あたしが原因だから、なにもできなかった。ごめんって言うわけにもいかないし、好きっていったのをなしにすることもできないし。
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だから、ずっと、結奈ねぇが返事をくれるのを待っていた。ドキドキしながら。でも、結奈ねぇにこれ以上心配かけないように、平気なフリして。
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ずっとずっと、待ってた。
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狛野比奈
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よかった……、待ってて……。
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どんな答えでもよかったけど。でも、こんな、いちばんうれしくて幸せな答えをくれるなんて。やっぱり、結奈ねぇ、大好き。
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あたし、これでやっと、結奈ねぇと恋人になれたんだ……。
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返事を聞いた瞬間、うれしくて、抱き締められて、うれしくて、大好きって言ってくれて、うれしくて。
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狛野比奈
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そして……。うわぁ……。
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思い出しちゃった。そして、あたし……。
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狛野比奈
>
キス、したんだよね、結奈ねぇと……。
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あれ、夢なんかじゃなかったよね? 結奈ねぇの顔が近づいてきて、目を閉じたら、唇になにか、さわって。あれは、確かに、結奈ねぇの……。
>
唇、だよね。キス、だよね。
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狛野比奈
>
ファーストキスまで、しちゃった……。
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抱き締めた枕を、中味が出そうなくらいに押しつぶす。
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狛野比奈
>
うわぁぁぁぁ……。
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ほんとに、恋人同士になれたんだ、結奈ねぇと。キスだってできるくらいに。
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狛野比奈
>
あああ……。うう、ダメ、熱い!
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もうガマンできない。立ち上がって、体を冷ますために、あたしはベランダに出た。
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狛野比奈
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あ……。
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ベランダに出て、まず深呼吸しようと思ってた。そんなとこまで、あの日とおんなじにしなくてもいいんだけど、体を冷ますにはいちばんだと思って。
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でも、あの日とちがうのは、ベランダに出たら。
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結奈ねぇがいたこと。隣の、ベランダに。
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遠見結奈
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比奈……。
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狛野比奈
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ゆ、結奈ねぇ……。
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う、うわ、また顔が熱い、体が熱い。真っ赤になる。
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恥ずかしくて、目を逸らしたいのに、そんなことできない。結奈ねぇを見ていたい。
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だって、こんなふうに会えるのだって、うれしいんだもん。
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遠見結奈
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どうしたの?
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狛野比奈
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ん、ちょ、ちょっと……。
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結奈ねぇの声、そんなに大きくないのに、はっきりと聞こえる。
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顔を隠すこともできないから、きっと、真っ赤なの、バレちゃってる。どうしよう、恥ずかしい。
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狛野比奈
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し、深呼吸、しに。
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遠見結奈
>
深呼吸?
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うん、深呼吸しに。でも、とてもじゃないけどできない。だって、胸が詰まりそうなんだもん。うれしくて。
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なんだか、すごく照れくさい。恋人同士になったのに、こんな気持ちになるなんて。恋人同士になったからなのかな?
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狛野比奈
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(あ……)
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よく見れば、結奈ねぇの顔も、ちょっと赤い?
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狛野比奈
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(結奈ねぇも、おんなじなのかな……?)
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ちょっと照れくさくて、恥ずかしくて、うれしいのかな? だから、顔が赤くなっちゃうのかな?
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遠見結奈
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………………。
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狛野比奈
>
………………。
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しばらく、なにも言わずに、二人で一緒に、ベランダに立ち尽くしてた。
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もう、夜はけっこう寒い。熱かった体も、少しずつ冷えていく。胸の真ん中はまだ暖かいけど、肌は夜の風に冷えていく。
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不意に吹いた風が、さらに肌を冷やして、あたしはちょっと震えた。
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遠見結奈
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比奈、お風呂から出たばっかでしょ? まだ髪が濡れてるわよ。
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狛野比奈
>
ん……。
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遠見結奈
>
湯冷めしちゃうわよ。もう、中に入りなさい。
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狛野比奈
>
ん。
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そう言って、結奈ねぇも自分の部屋のサッシに手をかける。
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遠見結奈
>
おやすみ、比奈。
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狛野比奈
>
ん。
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返事をして、一緒に部屋に戻る。でも、それだけで、すごくうれしくて、幸せで、あたしはまた、すぐにベッドに倒れ込んだ。
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ほんとに、今日は忘れられない日になった。一生、あたし、今日のこと、憶えていると思う。
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結奈ねぇと恋人同士になった日。大好きって返事をもらえた日。
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今までずっと一緒にいた結奈ねぇと、これからもずっと一緒にいられると思えた日。
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結奈ねぇのくれた答えは、一生忘れない。初めてのキスも。
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狛野比奈
>
それから……。
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結奈ねぇが話してくれた、もう一つのこと。
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こっちは正直、まだちょっと、どういうことかわからなかった。
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屋上に幽霊が二人いて、結奈ねぇはずっとその二人と友達で?
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結奈ねぇはその二人に力を貸したいと思ってて? それで、あたしと一緒に、その二人に体を貸して?
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そして……?
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狛野比奈
>
んー……、わかんない。
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わかんないけど、結奈ねぇの頼みだから、あたしは断るなんて考えもしない。
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よくわかんないけど、結奈ねぇには、いいよって返事をした。何度も念を押して聞き返されたけど、いいよって。
>
体を貸すってことがどういうことかわからない。幽霊ってのもよくわからないし。
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でも、結奈ねぇが変なデタラメ言うわけがない。結奈ねぇが言うんだから幽霊とかでも本当なんだろうし、体を貸す? うん、でも、平気。
>
だって、結奈ねぇも一緒に貸すんだし。
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狛野比奈
>
んー……。
>
でも、わかんない。一晩、体を貸すことになって、それで、学校に泊まる?
>
その、いろいろするってことだよね? そういう意味だったんだよね?
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狛野比奈
>
……わかんないことばっか。
>
どうしよう。結奈ねぇの頼みだから、わかんないけど、絶対引き受ける。
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でも、わかんないことはどうしよう。こういうことって、誰かに聞いた方がいいのかな?
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結奈ねぇ、幽霊のことは内緒にしてって言ってたから、それ以外のこと。学校に泊まって……、いろいろすることの方。
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狛野比奈
>
茉莉先輩と美夕先輩に聞いてみようかな。
>
あの二人だったら、いろいろ教えてくれるかも。茉莉先輩、いつも、相談に乗るって言ってくれてるし。
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狛野比奈
>
ん、相談してみよう。
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先輩たち、引退したから、部活ではいつでも会えるわけじゃないけど……、会いに行ってもいいよね?
>
ん、明日か明後日、会いに行こう。いろいろ聞いてみよう。
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そう決めたら、なんか、わかんないってもやもやしてたことが、消えていった。
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うん、これなら、すぐに眠れそう。
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狛野比奈
>
おやすみ、結奈ねぇ。
>
壁の向こうにいる結奈ねぇに、そう言って。
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あたしは、掛け布団を頭から被った。恋人の結奈ねぇに、おやすみって言ったのが、なんだか急に恥ずかしく思えて。でも、とても、うれしくて、幸せで。
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