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一木羽美
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ただいま~。
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双野沙紗
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お帰り。
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一木羽美
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ぅ……。
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放送室に戻ってくるといきなり、沙紗の姿が目に入ってきて。とたんに、わたしの心臓の音が跳ね上がる。
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ああもう、どうしてだろう。好きって言われてから、ずっと。
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沙紗の姿を見るだけで。目があったり、ちょっと手や体がさわったりすると、そう。ドキっとする。ドキドキしてくる。
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沙紗って、ほんとに美人だな。あの日からなおさら、そう思える。
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背は高いし、スレンダーだし。顔もすごいきれい。黒くてまっすぐな髪も、すごい羨ましい。
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沙紗は目つきの悪さを気にしてるみたいだけど、そんなことない。本気でにらまれるとちょっと怖いけど。
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口は悪いけど、本気で「死ね」とか言ってるわけじゃない。あれって、口癖とか勢いだよね。ちゃんとわたしや音七には優しいところ見せてくれる。
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わたしは、沙紗みたいになりたかったなって思う。背の高さや美人なとこ、なんでもはっきり言えるとこ、余計なことは言わないとことか。
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やっぱり、沙紗から告白されて、わたしも好きかも、なんて答えちゃったからかな。
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沙紗のこと、恋人なのかも、そうなんだって思うようになっちゃったからかな。
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今まで、友達だと思ってたのに。今でも、そう思っているけど。それ以上に好きだって思っちゃったからかな。
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今まで以上に、沙紗の好きなところが、はっきりと目に映る。そればっかり、気になってしまう。
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双野沙紗
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ん、どうした、羽美。
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一木羽美
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う、ううん、なんでもない。
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慌てて、赤くなりそうになってた顔を、沙紗から見えないように、放送室の中を見回したりして。
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一木羽美
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……あれ?
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気付いた。もう一人の、大切な友達の姿が見えないことに。
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一木羽美
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音七は?
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双野沙紗
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……あれ? いないな。
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一木羽美
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また……?
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双野沙紗
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さっきまではいたんだけど。あれ? いつ出ていったんだ?
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わたしが、すぐ近くの職員室に、夏合宿参加の申請書をもらいに行ってたのなんて、ほんの数分なのに。
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その間に、音七、どっかに行っちゃったの?
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ここのところ、音七が黙って、わたしと沙紗を置いてどこかに行ってしまうことが多い。
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ちょっと前から、そういうこともあるかなって思ってたけど、最近、特に。
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最近……。沙紗がわたしに告白して、わたしがそれにOKっぽい返事をしちゃってから……?
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一木羽美
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ねぇ、沙紗。
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双野沙紗
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ん、なに?
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一木羽美
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わたしたち、最近、音七のこと少し、ほったらかしにしてないかな……?
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双野沙紗
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え? そんなことないと思うけど……。
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沙紗はそうかもしれない。告白してくれる前も後も、そんなに変わってないかもしれない。
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でも、わたしは……。
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最近、沙紗のことが気になってる。気が付くと、沙紗のこと、見てばっかりいる。もうわかる、そんな自覚がある。
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その分、音七から目が離れていたんじゃないかな。音七、そのことに気付いて、さびしい思いをしてるんじゃないかな……。
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だから、こっそりいなくなったりしてるんじゃないかな……。
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だって、音七、すごい頭がいいもん。いつも眠そうにしてるけど、ほんとはすごいまわりのこと、よく見てる。
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音七って、本気を出せばきっと、もっと勉強もできるし、いろんなことに挑戦して、成功できると思う。本気っていうか、ちゃんと目を覚ましていれば。
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だって、ミキサーとか機材の扱い、すごい上手だから。眠い眠いって言いながら、お昼の放送ではちゃんと仕事してくれるし。
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眠いって言葉と態度で、すごい実力を隠している感じ。羨ましいくらい、なんでもできる子だから。
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そんな音七だから、わたしと沙紗のこと、気付いていてもおかしくない。わたしの態度が変わってしまったことに。
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一木羽美
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どうしよう……。
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双野沙紗
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え、なにが?
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そんな音七を、わたし、沙紗の告白にうれしくなって、放っておくなんて。大事な友達なのに。
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一木羽美
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ねぇ、沙紗! わたしたち、もっと音七のこと、大切にしなきゃ!
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双野沙紗
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え、ええ? あ、いや、音七は確かに大切っていうか……。
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一木羽美
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だよね! 大切な友達だよね!
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grpo_bu1
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そう、友達は大切。とても大事なもの。
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ちいさいころに一度だけ、わたしは家の都合で引っ越しをしたことがある。
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仲のよかった子と離れるのはさびしかったけど、わたしはそれより、引っ越しすることに浮かれていて、あまり友達と別れるということを深く考えていなかった。
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その後、一度だけ、元いた町に戻った時。わたしは、仲のよかった子が、すっかり別の友達を作っていて、わたしのこと、ほとんど忘れていたことにすごいショックを受けた。
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泣き出して、すぐに今の家に帰るって言い出したくらい。
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それ以来、わたしは絶対に友達は大切にしようって思ってる。一生ものの友達を作りたいって思ってた。
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だから、中学で沙紗と音七に会った時、絶対にこの二人とは友達になれると思って、そういう運命を感じて、声をかけて。
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そして、友達になった。この学校にも一緒に進学した。これからも、ずっと一緒にいたい。友達でいたい。
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沙紗とは、その、恋人というか、付き合うことになっちゃったけど……、それでも、音七を一人にさせていいわけない。
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だって、音七は友達なんだから! 大事な友達なんだから!
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grpo_bu1
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grpo_bu1
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一木羽美
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沙紗と付き合うことになったって、音七をひとりぼっちにしちゃダメだよね! さびしくさせちゃダメだよね!
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双野沙紗
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え? あ、うん……。
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一木羽美
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だよね! うん、わたし、もっと音七のこと大事にする! 絶対にさびしがらせたりしないんだから! 沙紗も協力してよね!
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双野沙紗
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う、うん……。
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一木羽美
>
とりあえず、音七と一緒にいよう! 音七、どこにいるのかな?
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双野沙紗
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さ、さぁ……?
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一木羽美
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よし、放送で呼び出そう! 沙紗、機材、動かしてくれる?
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双野沙紗
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え、放送!?
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一木羽美
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うん! 早く! わたし、アナウンス出すからさ!
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もう、少しもじっとしていられない! わたしは、アナウンスブースに向かう。沙紗が、一応使えるミキサー卓についてくれる。
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マイクの前に座ると、ミキサー卓の沙紗に手を振って急かす。よし、オンエアのランプ点いた。沙紗からキューが出る。ちょっと呼吸を整えてから。
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一木羽美
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お呼び出しいたします。
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頭の中の例文通りに、呼び出し放送を読み上げていく。
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一木羽美
>
二年B組の三山音七さん、二年B組の三山音七さん、今すぐ放送室までお越しください。
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一木羽美
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繰り返します。二年B組の三山音七さん、二年B組の三山音七さん。今すぐ放送室までお越しください。
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よし。今日は噛まなかった!
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ランプが消えているのを確認して、ブースを出る。
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一木羽美
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沙紗! 音七を捜しに行くよ!
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双野沙紗
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ええ!? 今、呼び出しかけただろ? あたしたちがここを出てどうすんのさ!
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一木羽美
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音七が大人しく出頭してくるわけないでしょ!わたしたちが見つけてあげなきゃ!
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双野沙紗
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出頭ってさぁ……。
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大人しく待ってるわけいかないの! 今すぐ、音七を見つけなきゃ!
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わたしは廊下へのドアへと急いで……、足下が不注意になっていて、ミキサー卓の椅子に引っかかった。
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一木羽美
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うわわっ!?
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双野沙紗
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あ、ほら、危ない!
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転びそうになったわたしの腕を、沙紗がつかんで支えてくれた。
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双野沙紗
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落ち着けってば。
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一木羽美
>
う、うん……。
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沙紗が、わたしの腕をしっかりとつかんでる。それだけで、なんだか、目眩を起こしそう。すごい、ドキドキして、クラクラする。
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わたしの体を引き起こしてくれる沙紗を、すごくかっこいいって思ってしまう。
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わたしがこんなこと思ってるうちにも、音七がさびしい思い、してるっていうのに……。
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grpo
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grpo_ef
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grpo_bu0
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grpo_bu0
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grpo_bu0
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grpo_bu0
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grpo_bu0
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grpo_bu2
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grpo_bu1
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grpo_bu0
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List of all oneshots
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