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合宿五日目。今日は日曜日。
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私は昼ご飯まで用意してから、一度、家に帰ってきた。
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もともとその予定で、合宿中、一日だけ家に帰って、洗濯とか着替えを取ってきたりとかするために。
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夕ご飯の支度までには戻らないといけないから、家にいられるのは4時くらいまで。でも、やることすませたら、学校に戻ろう。
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洗濯機を回したけど、乾燥が終わるまでは待ってられないかな。
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テーブルにお母さんへのメモを残しておこう。乾燥が終わったら洗濯もの、取りこんでおいてほしいって。
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学校に戻る時に、隣に寄って、比奈に頼まれた着替えを預かっていこう。あの子は学校に残って部活してるから。
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自分の部屋で、持っていく着替えをまとめてきた後、メモを残すためにダイニングのテーブルに戻ってきたら。
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遠見結奈
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あ、暑中お見舞い。
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今朝、届いたのかな? 私宛の分が、テーブルに上にまとめてあった。一番上は。
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遠見結奈
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阿野からだ。
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去年までもらっていた暑中お見舞いを思い出して、ちょっと覚悟を決めてから、ひっくり返す。
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遠見結奈
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やっぱり……。
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うちの両親も楽しみにしている、阿野からの暑中見舞い。いったいどこで、こういうの手に入れるんだろう。
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きれいなことはきれいなんだけど、そこには、なんて言えばいいのかな、ピンクの髪の女の子のイラスト。
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阿野は年賀状もこういうノリ。だから、両親もいつも、阿野からのハガキを見せろと言ってくるくらい。
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「今年も大漁でしたー!」なんて書いてある。これ、きっと、コミケのことなんだろうな。あの子、コミケのために毎年、親戚の家に行ってるのかしら。
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遠見結奈
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まぁ、阿野らしいんだけど。
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あと二通、これは中学時代の先生からの返事。それをまとめて、一度、部屋に戻って置いてくる。
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さ、学校に戻ろう。その前にちょっとだけ。合宿対策本部への差し入れ、作っちゃおう。
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一木羽美
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遅くなりましたぁ……。
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双野沙紗
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あぁ、やっとご飯だ……。
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三山音七
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うぅ、眠い……。
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一木羽美
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ああもう、音七、起きて! ご飯だってば!
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遠見結奈
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あ、やっと来たの?
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陸上部のみんなが夕ご飯を食べ始めてから、30分くらいたって、放送部の三人が食堂に入ってきた。
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遠見結奈
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よかった。なかなか来ないから、呼びに行こうと思ってたの。
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一木羽美
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ごめんごめん。
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双野沙紗
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羽美が悪いんだよ……。いつまでも台本、直し続けてんだからさ……。
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一木羽美
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だってぇ……。どうしても、ピッタリこなかったんだもん……。
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三山音七
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………………。
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一木羽美
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ちょっと音七、起きてる!? ご飯だよ!
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三山音七
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もういい……。ご飯いらない……。寝る……。
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双野沙紗
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食べてから寝ろってば!
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三山音七
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わかったよぅ~。
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遠見結奈
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……大変みたいね。
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三人分のお茶碗にご飯をよそいながら、私は一木さんに声をかける。本来なら、ご飯をよそうのはセルフサービスでお願いしてるんだけど、さすがにつらそうだから。
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一木羽美
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うん、合宿始まってから、あんまりわたしら、寝てなくってね~。
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遠見結奈
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え? なんで?
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一木羽美
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いや、ラジオドラマの内容が決まらなくって。ああだこうだ言ってたら朝になってたりしてさぁ。
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遠見結奈
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……無茶するのね。
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一木羽美
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あはは……。でも、あとちょっとで台本もできるから、もう大丈夫~。
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遠見結奈
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せめて、ご飯はしっかり食べてね。もたないわよ?
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一木羽美
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うん、そうする。今日の夕ご飯、なに?
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遠見結奈
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豚の生姜焼き、ほうれん草のおひたし、冷や奴、千切り野菜のサラダ、お味噌汁、杏仁豆腐。定食風にしてみたの。
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遠見結奈
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生姜焼きの方は、大人気でおかわりがもうないんだけど。
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一木羽美
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うわぁ、うれしい。いいよ、わたしたち、陸上部の人たちほど食べないからさ。
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双野沙紗
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ほんと、食事には期待してなかったしな。遠見のおかげで助かった。ほら、音七、自分で食べないと口に無理矢理詰め込むよ。
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三山音七
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あいあい~。
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ほんとに三人とも、疲れてるというか、消耗している。特に。
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三山音七
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あ~、う~。
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音七さんの疲れ具合がひどいみたい。とりあえず自分でご飯、食べてるけど、今にも寝てしまいそう。って!
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遠見結奈
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音七さん! お味噌汁こぼしてる!
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三山音七
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え~? あ、あー……。
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慌てて雑巾をつかんで駆け寄る。
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遠見結奈
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大丈夫? ほんとに寝てないの?
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三山音七
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んー……。
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一木羽美
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いや、さぁ。わたしと沙紗で台本作って演出決めてるんだけどね。
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双野沙紗
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音七は編集担当だからさ、別にあたしらに付き合って徹夜する必要ないんだけどさ。
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一木羽美
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ほら、わたしたち、放送室で合宿してるじゃない? わたしと沙紗がずっと起きて話してるから、音七、なかなか寝付けないみたいで。
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双野沙紗
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羽美の徹夜テンション、うるさいんだよな。
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一木羽美
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沙紗だっていきなり笑い出したりしてたじゃない!
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双野沙紗
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羽美がくだらないこと言うからだろ!
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遠見結奈
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はいはい、それで音七さんもあまり寝てないわけね。
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音七さん、半分寝ながらご飯食べてる。器用だとは思うけど、音七さんだけに、睡眠時間が少ないのって、相当つらいんだろうな。
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遠見結奈
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ねぇ、音七さん。
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三山音七
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ん~……?
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遠見結奈
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あのね、私の泊まってる部屋って、私しか使ってないの。もう一人くらいなら余裕で布団敷けるから、放送室で寝づらいなら、こっちにくる?
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三山音七
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ふぇ?
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遠見結奈
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一木さんと双野さんが遅くまで起きてる時とか、私のとこで寝ていいから。
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三山音七
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あ、あー……、いいの~?
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遠見結奈
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私は別にかまわないから。お布団だけ、持ってきてくれればいいわ。
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三山音七
>
あー、それはもしかすると、すごく助かるかも~。
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一木羽美
>
あー、遠見ちゃん、ごめんね? 今日の夜には、なんとか終わらせるからさ。
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遠見結奈
>
二人もちゃんと寝た方がいいと思うんだけどね。
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双野沙紗
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わかってるんだけど、なんでか夜中って変なアイデアが出てくるんだよな。
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遠見結奈
>
そういうものなの?
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一木羽美
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あるんだよねー、そういうの。
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双野沙紗
>
まぁ、たいてい、後から見直すと、わけわかんなくて使えないんだけどさ。
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遠見結奈
>
それじゃ、意味ないじゃない……。
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合宿所の使わせてもらってる部屋に戻って、しばらくたってから。
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扉が小さな音でノックされた後、音七さんがふらふらと入ってきた。
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三山音七
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こんばんは~、お邪魔するよ~。
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夕ご飯の時、私からした提案を受けて、今日はこっちで寝るつもりみたい。
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ほんとに睡眠時間をとれてなかったみたい。今にもその場で倒れて寝てしまいそうなほど、目をこすって、声も眠そう。
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遠見結奈
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あ、いらっしゃい。布団、持ってきた?
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三山音七
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ん、持ってきた。
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遠見結奈
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……掛け布団だけ?
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三山音七
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敷き布団、重たかったから、これだけでいい~……。
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遠見結奈
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ちょっと待って。座布団出してあげるから、せめてそれを敷き布団がわりにして。
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三山音七
>
あ~、ありがと。ほんと助かる~。
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座布団を並べて敷いてあげると、音七さんはすぐにそこに倒れ込んだ。
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三山音七
>
ほんとはさ~、夏合宿中はラジオドラマの内容決めて、台本作るだけでさ~。
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遠見結奈
>
うん。
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三山音七
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演劇部にお願いする収録と編集は、9月に入ってからやるんだよ~。
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遠見結奈
>
そうなの。
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三山音七
>
つまり、あたしはほんとは、合宿、参加しなくてもよかったんだけどね~。
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三山音七
>
まぁ、羽美は当然、一緒に合宿しようって言ってくるわけでさ。
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遠見結奈
>
ああ……。まぁ、一木さんなら、そう言うのかもね。
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三山音七
>
まぁ、あたしも一緒に合宿するのはいいんだよ。同じ放送部なんだしさ。でも……。
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三山音七
>
こんなに眠れないとは思わなかったさぁ……。
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遠見結奈
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そ、そう。
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三山音七
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二人っきりにしてあげたいからとか、そんなのもうどうでもいい……。あたしゃ、寝る……。寝させて……。
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遠見結奈
>
はいはい、今日はぐっすり寝ていってね。って……。
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三山音七
>
くぅ……、すぅ……。
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遠見結奈
>
うわ、すごい……。もう熟睡してるみたい。
>
相当無理してたんだろうな。並べた座布団の上に倒れ込んだまま、音七さんは寝息を立てている。
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私は、彼女の掛け布団を直してあげてから、自分の布団を敷く。
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ちょっと消灯時間には早いけど、今日は私も寝てしまおう。明かりを消してあげた方が、音七さん、よく眠れると思うから。
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